時間を取り戻す『モモ』(ミヒャエル・エンデ)から学ぶ 現代の時間の使い方 ― 『#大人の読書感想文』


このブログは、私の知人や募集で集まった方々の『大人の読書感想文』を掲載しております。

本のレビューではなく、その本を読んだその人がどのように感じ、どのように影響を受け、人生に活かしてきたかをまとめています。

その本に興味を持って頂くことはもちろん、あなたの悩みの解決や人生の励みになれば幸いです。


モモ (岩波少年文庫 127) [ ミヒャエル・エンデ ]

感想(175件)

あなたは普段、時間をどのように捉えていますか?

「時間が足りない。とにかくもっと時間がほしい!」

「永遠のように感じる。」

とても貴重なものと捉える人もいれば、全く意識していない人もいると思います。

“時間”は目に見えないものですし(時計を見れば・・・、と言う意味ではなく物質として)、

何か対価を支払って手に入れられるものでもありません。

ですので、人それぞれで捉え方が大きく違ってきます。

『時は金なり』

と言われたりします。

“時間”はとても貴重なものです。

「“時間”は無限ではなく、有限である」と言う人もいます。

“時間”自体は無限か有限かわかりませんが・・・、そこは科学に任せましょう。

ただ少なくとも、あなたの“人生で使える時間”は有限であるということです。

「効率的に時間を使う」ことを常に考えている人も、無限のように時間があると考えている人も、多くの人はその“時間”の貴重さを普段感じずに生きているように思えます。

人間は何か明確な代償を支払って手に入れるもの以外は、“あって当たり前のもの”と捉えてしまいがちです。

水や空気も同じです。

生きるのに基本的で極めて貴重なものですが、我々日本人はそれが当たり前のように手に入れられます。

ひと度海外に行けば、安全な水を手に入れることが難しい国もあります。

水不足に苦しむ国もあります。

空気も同じです。

大気汚染に苦しんでいる国もあります。

かつての日本もそういった時期がありました。

その時初めて安全な空気の貴重さに気付くのです。

現在の“時間”に対する考え方は、

「より効率的に」

「より早く」

「より多くのことを短時間に」

と、効率化を求める傾向にあります。

ここ最近になって

「効率化を求めることが本当に幸せなのか?」

という問いも多く出てきています。

(数年前に世界一幸せな国の王子が来日した辺りでしょうか・・・)

こういった問いが多く出てくるということは、少しずつ現在の“効率化”に対して疑問を持っている人が増えてきたからだと思います。

“効率化”自体は悪いことではなく、常に求めるべきことと思います。

同じことをより楽により早くこなせるようにするには工夫や新たな方法を求めなければいけません。

そうすることにより、そこに組織や個人の進歩・成長があるわけですから。

では何が問題か?と言うと、おそらく実際には多くの人が、“時間が貴重だから”、“効率化が成長に大切だから”、と言う考えに基づいているわけはなく、何となく流されるように“効率化”を求めているからなのだと思います。

つまり周りの人達(友人、同僚、会社)が効率化を求めるから自分もそうしている、

周りの環境(新しい商品、流行、科学技術、仕組み)の変化の速度が速いから自分も乗り遅れないように必死について行く。

そういったことが日々のストレスになっているのだと思います。

今回の『大人の読書感想文』は時間の大切さを再確認し、今一度考えなおす機会を与えてくれる『モモ』(ミヒャエル・エンデ)を取り上げています。

児童文学ではありますが、現代を生きる大人にこそ考えて頂きたい内容です。

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時間を取り戻す『モモ』(ミヒャエル・エンデ)から学ぶ 現代の時間の使い方

■大人にこそ読んでほしい児童文学『モモ』

『モモ』という児童文学書をご存知でしょうか?
著者はミヒャエル・エンデ、ドイツの著名な児童文学作家です。
「大人が児童文学を読んで何が面白いのか」、そうお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。
『モモ』は児童文学書、当然ながら本来のターゲットは「子供達」です。
しかしこの書籍は子供心を忘れてしまった「大人」にこそ読んでいただきたい、そう私は考えます。

■不思議な少女「モモ」

主人公である「モモ」は、町外れの「円形劇場」に住む、一人の少女です。
彼女はどこから来たのか、誰から生まれたのかわからない、いわゆる「みなしご」。

普通なら誰からも相手にされず、孤独に生きてゆかなければなりません。
しかしながら彼女は町中の人々から愛され、毎日多くの友人が彼女と遊ぶために円形劇場に足を運びました。
「ただそこにいるだけで子供達の喧嘩をおさめ、ただ大人の悩みや愚痴を聞くだけで、その人々が自分の問題の答えを見つけ出す」、そんな不思議なモモに町の人々は惹かれていたのです。
おかげで、モモは貧しいながらも飢えることなく、皆と楽しく日々を過ごしていました。

■時間泥棒

しかしその満ち足りた生活は、町に「時間貯蓄銀行」の職員を名乗る、服も肌も全てが灰一色、「灰色の男達」が現れるとともに崩れてゆきます。
「灰色の男」は町の大人に、「無断な時間節約によって寿命を延ばすことができる」と吹き込んだのです。
大人たちは「灰色の男達」の言葉をすっかり信じこみ、あらゆる余裕や無駄を生活から排除し、次第に自分達の子供にも強制させだしました。
大人は仕事、子供は勉強のみに時間をつかうようになり、そんな余裕のない生活に追われる人々は次第にモモから離れていきました。
「時間を節約すれば寿命が延びる」、そう思い込む大人たちにとって、モモとの会話は時間の無駄以外の何物でもなくなってしまったのです。
時間貯蓄銀行では、人々が節約した「無駄な時間」がどんどん貯蓄されてゆきます。
しかし、それを一番喜んでいるのは、町の人々ではなく灰色の男達でした。
彼らの正体は、人々の「節約した時間」を自らの命とする生命体、自分たちの寿命のために大人たちを騙す「時間泥棒」だったのです。
その真実にたどり着いたモモは、三十分先の未来を診ることができる亀の「カシオペイア」と時間を司る賢者「マイスター・ホラ」の助けを借りつつ、灰色の男達を倒すことを決心します。
果たしてモモは、彼らから町の皆の時間を取り戻す事が出来るのでしょうか?』

■「モモ」が教える、これからの時間の使い方

いかがでしょうか?
「モモ」という作品は子供には「胸躍るモモの大冒険」を、大人には「現在を見つめなおす機会」を提供してくれます。
私はこの本に出会う前まで、常に勉強や仕事に励んで来ました。
確かにその恩恵は大きく、現在はそれなりの暮らしを出来ているものの、同時にどこか空虚さも感じていました。
『人生には「すべき事」というものは確かに存在し、それは自身の物質的な豊かさに直結する。しかし、それだけを追い続けるということは余裕を捨て去ることにつながり、人生を味気ないものに変えてしまう。』
今ではこのようなことは常識の一部となっているかもしれません。
しかし、これを心で実感することの困難さは、皆さんご存知のはずです。
「モモ」は私にそれを頭でなく心で理解させてくれた、愛すべき一冊なのです。

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いかがでしたか?

『モモ』(ミヒャエル・エンデ)に描かれる「灰色の男達」が現れた後の世界は、現代の私達の生き方を極端に表しているのかも知れません。

そして現実では物語に登場する「灰色の男達」は私達の中にいるのです。

あなたの中の「灰色の男達」はあなたにどのような影響を与えているでしょうか?

もしかしたら、あなたは“私”の中には「灰色の男達」はいない、と思っているかも知れません。

しかし本当にそうでしょうか?

もし、あなたがビジネスマンであれば上司、部下、取引先に・・・

「すぐにでもプランを実行したいので予算を組んで下さい!」

「あの企画書、早急に仕上げて!」

「納品を早めることは出来ませんか?」

等と相手を急かしていませんか?

もし、あなたが子育て中のママだったらご自分のお子様に・・・

「早くご飯食べちゃいなさい!」

「帰ったらすぐに明日の用意をしなさい!」

等と日々大声をあげていませんか?

他にも様々な場面で相手を急かしたり、自分がいかに多くの物事をこなすことを考えたりしていると思います。

現代を生きる私達の中には少なからず「灰色の男達」はいると思います。

上記の例は“仕方がないこと”かも知れません。

しかし、その“仕方がないこと”を作り出したのも私達です。

“私以外の誰か”が作り上げていると多くの人が思っているのでしょうが、他者から見ればあなたも“私以外の誰か”になります。

「働き方改革」「ライフワークバランス」の話題が盛んになっています。

とてもいい機会と思います。

自分にとって何が人生の幸せか、自分にとって幸せな時間とはいつなのか?

もう少し見つめ直してはいかがでしょうか?

そして同時に、相手に対してもっと時間的に寛容になるべきではないでしょうか?


あなたの『大人の読書感想文』をお聞かせ下さい。

悩める方の助けになるかも知れません。

ぜひメッセージお願い致します。

※掲載の際には多少の編集を加えますので予めご了承下さい。




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