『ホクサイの世界―小松左京ショートショート全集〈1〉』(小松左京)の概要
図書館の古書ライブラリーで葛飾北斎の浮世絵画集「富嶽三六景」に感銘を受けた主人公は、夫婦で20世紀の日本へ時間旅行へと繰り出す。
しかしタイムマシンの免許を取得したばかりの妻の操作ミスによって、予想外なトラブルへと巻き込まれていくのだった。
『ホクサイの世界―小松左京ショートショート全集〈1〉』(小松左京)の 好きな登場人物
テクノロジーの発達した遥か未来の世界に生きながら、江戸時代後期の浮世絵師に興味津々な主人公のキャラクターには共感出来ました。
タイムマシンの操縦技術はからっきしながらも、心優しい妻との仲睦まじい結婚生活の風景も微笑ましかったです。
日本の江戸時代と20世紀初頭イギリスのエドワード王朝を勘違いしてしまう、そそっかしい一面も不思議と憎むことが出来ません。
褌を「ベルト・パンティ」、侘びと寂を「ワサビ」と呼ぶ未来人の言葉使いにも笑わされました。
『ホクサイの世界―小松左京ショートショート全集〈1〉』(小松左京)の 好きな場面
随所に散りばめられている味わい深いセリフの中でも特に好きなのは、「長くひく裾野はかすみの中にとけこみ、頂きは水晶のようにきらめいている」です。
時間の流れを遡って過去へとたどり着いた主人公達が、初めて富士山のシンメトリカルな佇まいをその目で確かめるシーンに登場する言葉です。
最先端のテクノロジーを追い求めていくばかりではなく、たまには先人達の功績を振り返ってみることの大切さを考えさせられました。
『ホクサイの世界―小松左京ショートショート全集〈1〉』(小松左京)で得たもの
この本を読んだことがきっかけになって、北斎や喜多川歌麿を始めとする古き良き時代の浮世絵への関心が俄然涌いていきました。
すぐれた描写テクニックとダイナミックな画風には、オランダの後期印象派の画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホにも影響を与えたと言われています。
書籍でマメ知識やこぼれ話を吸収してから、美術館巡りをしてみるのも楽しいかもしれません。
いずれは『すみだ葛飾北斎美術館』へも、足を運んでみるつもりです。
『ホクサイの世界―小松左京ショートショート全集〈1〉』(小松左京)はこんな方におすすめ
自由奔放な想像力と古典への造詣の深さをミックスさせた、独特なスタイルが魅力的になります。
かんべむさしや横田順彌に代表されるような、20世紀の後半にかけて活躍したSF作家に馴染みのある皆さんは是非とも手に取ってみて下さい。
『ホクサイの世界―小松左京ショートショート全集〈1〉』(小松左京)のまとめ
2003年の2月にハルキ文庫から刊行されている、ショートショート集になっております。
文芸雑誌「宇宙塵」の57号に初出となった「さんぷる一号」から、1972年発表の短編集「怨霊の国」からの転載となる「かつがれ屋」まで40編が収められました。
表題作「ホクサイの世界」の他にも、文庫本での収録は初となる「靴屋の小人」は必見です。
SFアドベンチャーからホラー文学に諷刺譚までの、バラエティー豊かなラインナップになっています。
ブログ『大人の読書感想文』管理人が、SNSを通じて知り合った作家さんの本です。
・タイトル:『従順のすすめ』
・著者:清水竜志
・内容:現代思想についての本です。
「好きとは何か」
「学業学歴とは何か」
「お金とは何か」
「ストレスとは何か」
「宗教とは何か」
「個性とは何か」
「若者の品格とは何か」
「競争とは何か」
「死とは何か」
「人間とは何か」
といった、現代社会の漠然とした疑問を新しい理屈の真理で解明する、という新しい取り組みをした充実の内容です。
是非、一冊お手に取り著者である思想家の清水竜志さんを応援して下さい。
清水竜志さんのTwitter:https://twitter.com/messages/media/1116542864228413445