『いま、会いにゆきます』(市川拓司) ― おすすめの本

『いま、会いにゆきます』(市川拓司)の概要

秋穂巧は高校時代のクラスメート・澪と結婚した後に長男の佑司を授かり、家族3人での幸せに暮らしていた。

やがて澪は病気で亡くなるが、今わの際に残した言葉通りにふたりの前に帰ってくるだった。

いま、会いにゆきます (小学館文庫)


『いま、会いにゆきます』(市川拓司)の好きな登場人物

ある日突然に訪れた妻との別れの哀しみを乗り越えて、少しずつ真っ直ぐに歩んでいく主人公・秋穂巧の生きざまには共感出来ます。

小学生になったばかりの若干6歳ながらも、頼りない父親をサポートするしっかり者の巧の息子・佑司が可愛らしかったです。

夫と息子への強い未練を抱えたままつかの間の共同生活を送る、妻であり母親でもある秋穂澪の姿が美しくも儚げでした。

3人の良き理解者でもあり物語の鍵を握る、「ノンブル先生」こと遠山の存在も忘れ難いです。

『いま、会いにゆきます』(市川拓司)のおすすめの場面

6月の雨の日に森の中を散策している巧と祐司が、桃色のカーディガンを羽織った澪と再会を果たすシーンが感動的でした。

右の耳たぶにある小さなふたつのホクロから特徴的な八重歯まで、愛する人の身体的特徴をしっかりと記憶している巧の優しさには心温まるものがあります。

亡くなる直前に言い残した「雨の季節になったら戻ってくるから」という言葉通りに、1年前に病死したはずの妻の突然の帰還にも戸惑うことなく夫として彼女を受け入れていく巧の決意には胸を打たれました。

『いま、会いにゆきます』(市川拓司)から得たもの

朝起きてから佑司にご飯を食べさせて学校に送り出してから勤め先である司法書士事務所を目指す、シングルファーザーとしての巧の日常の描写もリアリティーがあります。

主人公の住んでいる町には学童保育の制度がないために午後4時には仕事を終えて帰宅しなければなりませんが、理解ある事務所の所長と女性事務員の永瀬のサポートもあり何とか仕事を続けている姿が印象深かったです。

様々な家族のあり方について、社会全体で受け入れていくことの大切さを考えさせられました。

『いま、会いにゆきます』(市川拓司)はこんな方におすすめ

自らがこの世界から消え失せる前に、周りの大切な人たちに何を伝えて何を残すべきなのか思いを巡らせてしまうはずです。

家族や友人など身近な人との別れを経験したばかりの方たちは、是非ともこの1冊を手にとってみて下さい。

『いま、会いにゆきます』(市川拓司)のまとめ

2003年の3月に小学館から単行本として刊行されていて、今現在ではリーズナブルな価格の文庫本やKindleバージョンのほうが入手しやすいです。

2004年には土井裕泰監督によって実写映画化もされていますので、映像化作品の方もおすすめします。

一見すると死者が甦るほのぼのとしたファンタジーに思えていたストーリーが、計算されたSFへと変わっていく後半パートが圧巻でした。

張り巡らされた伏線に注意しながら読み進めてみて下さい。

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