『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹) ― おすすめの本

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹)の概要

主人公の山田なぎさは地方都市に住んでいる。

都会からやってきた転校生、海野藻屑は芸能人の娘で美少女。

なぎさも藻屑も、それぞれ人には言えないような暗い家の事情を抱えている。

ふたりはだんだんと、打ち解け、ついには友情のようなものが生まれるが……。

青春小説のようなミステリーのような、不思議で暗く、悲しくて美しい小説。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet


『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹)の印象的な舞台

物語の舞台である、鳥取県境港市がやはり印象的です。

境港市は実在する都市です。

水木しげるの出身地と言えば、分かる方もいるのではないでしょうか。

境港市には流罪となった後鳥羽上皇や後醍醐天皇に関する伝承があるそうです。

鳥取県は中国地方の北部にあり、境港市は鳥取県の西部にあります。

港という名前のとおり、三方を中海と日本海、それを繋ぐ境水道に囲まれています。

弓ヶ浜半島の北端に位置しています。

海は、作中でも重要なテーマのひとつとして登場しています。

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹)の注目の場面

スーパーで山田なぎさと海野藻屑が会うシーンが美しく、とても印象てきです。

このシーンでは、砂糖菓子の弾丸ばかりを強がって撃っていた海野藻屑が、傷ついた自分の銃身、まったく頼りない自分を山田なぎさに見られてしまい絶望にかられます。

被虐者としての海野藻屑の心情が少女らしい文体で描かれていています。

海野藻屑のわがままさに少し苛立つこともあるかも知れませんが、このシーンですべて消えるでしょう。

ミネラルウォーターの描写も素敵で、読むたびに何故かとても喉が渇きます。

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹)から得たもの

あまりに辛すぎる現実に直面すると、その辛さ自体を愛するようになってしまうということが、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹)では書かれています。

もしかしたら、それはこの本の本質という訳ではないのかも知れませんが。

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹)ではストックホルム症候群という言葉が出てきます。

ストックホルム症候群とは、誘拐事件や人質にされた被害者が生きるために犯人を好意的に思うことだそうです。

私達も、この本にあるほど病的ではないにしろ、つらい現実が正しく、それを愛することが幸福なのだと思いこまされていることがあるのではないでしょうか。

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹)はこんな方におすすめ

十代後半から二十代前半の、何でもない普通の日常を送っている方に読んで欲しいです。

とくに、心の中で生きにくいと感じている方なら、この本に強く心を惹かれるかもしれません。

ただし、本当に命の危険になるような深刻な状況にある人にはおすすめは出来ません。

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹)のまとめ

桜庭一樹氏の作品は全体的におすすめです。

気になる方はいくつかの作品を試しに読んでみて頂きたいと思います。

何かピンときたなら、きっと気に入ると思います。

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹)は好き嫌いが分かれるかも知れません。

表紙の絵もいくつかパターンがあるので、気に入ったものを選ぶと見るたびに良い気分になれます。

特にハードカバーのモノクロのカワイイ抽象画のものがおすすめです。

勧善懲悪を期待する人には向いていないかも知れません。

悲しくて美しくてどうしようもないけれど、絶望だけで終わらない本を求めている方は、ぜひ読んでみて下さい。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)

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