『お探し物は図書館まで』(青山美智子)の概要
日常生活に疲れ切り、心に傷を負った人達が吸い寄せられるように集まってくる町の小さな図書室がある。
そこに居るのはベイマックスのようなまあるい巨体の司書さん、小町さゆり。
彼女は本の力で彼らの心を解きほぐしていく。
『お探し物は図書館まで』(青山美智子)の好きな登場人物
ベイマックスのようなまあるい巨体、ひっつめられた髪をかんざしでまとめて、独特の存在感を放つ「小町さゆり」さんが好きです。
インパクトのある外観で、一瞬、相手を躊躇させますが、最終的には訪れた人、みんなを幸せにしてしまうという不思議な力の持ち主です。
図書室で一緒に働いている「森永のぞみ」ちゃんも、明るくて可愛くていい味を出しています。
実はこの2人の間には、とても素敵なエピソードがあります。
ぜひ、本書を読んでそのエピソードも味わってほしいです。
『お探し物は図書館まで』(青山美智子)の好きな場面
小町小百合さんと物語の主人公たち5名それぞれが出会う場面がとても好きです。
どの人もはじめは彼女の外観に驚愕し、躊躇させられますが、徐々に惹きつけられて心を開いていきます。
その過程で、小町さんが主人公たちに放つ一言一言にとても重みがあり、胸を打ちます。
小町さんは主人公達に最後にフェルトで作った小さなプレゼントを渡すのですが、この場面も楽しみの一つ。
もらったプレゼントにも一つ一つ意味があり、それが物語に深みを与えています。
『お探し物は図書館まで』(青山美智子)で得たもの
何気ない日常、自分がこうだと思い込んで拒否していたもの、変われないと思っていた自分等、少し視点を変えて勇気を出してみれば変えることができるかもしれない、そんな風に思わせてくれる本です。
登場人物達の中には、基本的に悪い人は一人もいないので、読んでいてほっこりとした幸せな気持ちになれますし、読後感がとてもいい小説ですので読むことによって前向きになれます。
目次部分に主人公達の特徴が記されていますので、自分の境遇に近い人物のストーリーから読み始めるのもいいかもしれません。
『お探し物は図書館まで』(青山美智子)はこんな方におすすめ
ちょっと気持ちが落ち込んでいる人、日々の仕事に自信を無くしている人、劣等感に押しつぶされそうな人、まわりの人たちとなんだかうまくいかない人。
普段の生活で生きづらさや悩みを抱えている人に読んで欲しい作品です。
『お探し物は図書館まで』(青山美智子)のまとめ
青山美智子氏の小説は「読んで幸せな気持ちになれる本」が多く、今回も期待していた通りの内容でした。
自分の周りにも、こんな図書室があればいいのにと感じ、探して観れば案外あるのかもしれないなどと思わせてくれる素敵な作品です。
同時に周りの人への感謝の気持ちを思い出させてくれたり、自分が気づかなかった今ある幸せに気づかせてくれる本でもあります。
ささくれだった心にすうっとしみわたっていくような感じがして、読んで良かったと心から思えた一冊でした。
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