『嫌われる勇気』(岸見 一郎, 古賀 史健)の概要
「人はだれでも、今この瞬間から幸せになれる」ということを語っている哲人の存在を知った青年は、その詭弁を完膚なきまでに論破してやろうと意気込んで、実際に哲人のもとを訪ねます。
青年には家族や兄弟、仕事等において精神的に惨めな思いをして育ってきたのですが、哲人の説くアドラー心理学によって徐々に自らの臆見を認めていくのです。
『嫌われる勇気』(岸見 一郎, 古賀 史健)の展開
哲人の説く内容は、すんなりとは受け入れがたいようなものです。
青年もそうしたうちの一人で、度々興奮した様子で哲人のことを糾弾しようとしますが、どれも早とちりで、次には哲人の言葉によって静かにさせられてしまいます。
興奮したり一杯食わされたような反応を示す青年と、そういう青年の態度を穏やかに見守っている哲人の余裕とが、面白おかしくて飽きずに読み進めていけるポイントと思います。
青年も青年で、認めるところは認めて、なんでもかんでも否定するわけではない点も良いと思います。
『嫌われる勇気』(岸見 一郎, 古賀 史健)の好きな場面
『嫌われる勇気』(岸見 一郎, 古賀 史健)には”課題の分離”という考え方が取り扱われています。
”課題の分離”とは、自分の課題と他者の課題とを区分けする考え方のことです。
何が誰の課題であるかは、それが向かう最終的な結果を誰が引き受けるかを考えてみればよいとのこと。
例えば、自分の髪型や服装をどうするかは自分の課題ですが、そういう自分の容姿にどのような評価をするかは他者の課題です。
人間関係の大半の衝突は、この他者の課題に介入すること。
または自分の課題に他者が介入してくることだと説かれており、この考え方は自分の精神的なストレスを軽減してくれるノウハウとなりました。
嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え / 岸見一郎 【本】
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『嫌われる勇気』(岸見 一郎, 古賀 史健)で得たもの
『嫌われる勇気』(岸見 一郎, 古賀 史健)では、これまでに接したことがないような考え方をいくつも知ることができました。
目的論がそのひとつです。
たとえば何か不安や恐怖心、心配等感じている時、過去の経験や好ましくない情報を保有していてそうなっている。
つまり原因があって、不安や心配といった結果が生じているという”原因論”という考え方が示されています。
しかし哲人は、先に「やりたくない」とかいった目的があって、それを達成するために不安とか恐怖を持ち出している、という”目的論”の考え方を説いていて、共感できるかどうかはとにかく斬新な考え方だと感じることでしょう。
『嫌われる勇気』(岸見 一郎, 古賀 史健)はこんな方におすすめ
「考え方を変えてくれる本」とか言うと、なんだか胡散臭いとか、怪しいとか、そう簡単に変わることはない、と思うのが大抵の反応だと思います。
ただ、大きく変わらないにしても、それなりの影響を与えてくれる内容になっています。
対話形式で話が進み、活字を読んでいくのが苦手な方でも読みやすい構成になっているので、読書を楽しみたい方にもおすすめです。
『嫌われる勇気』(岸見 一郎, 古賀 史健)のまとめ
『嫌われる勇気』という、日本人からみたら思い切ったようなタイトルですが、積極的に嫌われにいくことを提示するような内容ではなく、哲人による優しく丁寧な説明によって、これまでの凝り固まった考え方に刺激を与えてくれるものです。
また対話形式でまとめられていることによって読みやすく、頭の中でのイメージも楽で記憶によく残ると思います。
『嫌われる勇気』(岸見 一郎, 古賀 史健)の続編として『幸せになる勇気』という書籍がありますが、こちらも読まれる場合には、同時にエーリッヒ・フロム著の『愛するということ』もおすすめします。
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