『傷物語』(西尾維新) ― #おすすめの本

『傷物語』(西尾維新)の概要

高校生阿良良木暦と吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの人ならざるものについての物語である。

高校2年から3年になる春休みに一連の事件が起きた。

それは、他の誰でもなく阿良良木が阿良良木であることにより起きた。

傷物語 [ 西尾 維新 ]

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感想(82件)

『傷物語』(西尾維新)の印象的な場面

阿良良木の住む街が印象的でした。

地下鉄のホーム、学校の校舎、団地、団地の窓という窓に日の丸の旗が掲げられているのは、圧巻です。

傷に鈍い日本人ですが、普通でない傷が日本という国からではないことにやがて気付いていきます。

日本人が手を出してはならない禁忌を日本人は禁忌とあまり思っていません。

日本の国旗を掲げることで拒否するのですが・・・。

『傷物語』(西尾維新)の印象的な場面

彼女、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードから受けたボクの傷の物語、そしてボクが彼女を傷つけた傷の物語を語る時がきた。

という冒頭は、心に残ります。

傷つけ合う高校生と吸血鬼・・・

人間でいることをあきらめろ!と言われた阿良良木。

人間を殺す気なのか!?という怪異、人外者に対する阿良良木の怒り。

重なり合う吸血鬼という怪異と怒りに燃え戦う場面は、傷ばかりの物語と言って済ませられない罪と怒りでいっぱいです。

『傷物語』(西尾維新)で得られたもの

吸血鬼についての物語は、バッドエンドです。

皆が不幸になって終わりを迎えます。

阿良良木が落ちた地獄は、一連の事件が起きバッドエンドで終わりました。

ですが、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの地獄は一生続いているのではないでしょうか?

2週間の地獄体験で阿良良木が責任を感じ、日々の移ろいの中で阿良良木が忘れていくであろう、傷つけ合うばかりの物語というものについて、考えさせられます。

忘却の罪というものが時に語られています。

『傷物語』(西尾維新)はこんな方におすすめ

人を傷付けるということはどういうことか、考えたい人に読んでほしいと思います。

血を吸う吸血鬼であるキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードという人外者・・・

吸うばかりでなく血を吹き出し血まみれで倒れても戦う彼女について一読して考えてみると良いと思います。

『傷物語』(西尾維新)のまとめ

友達を作ると人間強度が下がると阿良良木は冒頭で述べます。

これは戦いのために闘うことを前提とした発言です。

戦いにただ勝つためだけであれば、友達すらいない方が強度は増すはずですが。

戦い続ける吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードは、強度を増しなぜ戦うのか?

血まみれで地下鉄のホームに倒れた彼女は、阿良良木に自分を助けさせてやる。

血を吸わせろと言う。

血を吸われ吸血鬼になった阿良良木の地獄が始まりました。

それは人間に戻るために戦い始まりでした。