『図書館の魔女』(高田大介)の概要
鍛冶の里で炭焼きをしながら暮らすキリヒトは、王宮の命を受けて、歴史上最古とされている図書館の主人、「高い塔の魔女(ソルシエール)=マツリカ」に仕える。
数多の書物を読み尽くし、多くの言語を理解するマツリカは自らの声を持たない。
キリヒトの従者としての暮らしが始まる。
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『図書館の魔女』(高田大介)の注目ポイント
なんと言っても、キリヒトです。
根底にある純朴さや素直さが、純粋すぎてときには痛々しいくらいです。
マツリカと共にあるキリヒトは、いろいろな意味で強く美しいと思わされます。
時折見せる子供らしい仕草や行動もまた、魅力的。
特にマツリカを連れて川へ遊びに行くシーンは、山里にいた頃のキリヒトの様子が垣間見られるようで、その後のシーンとの対比もあるせいか、余計に子どもらしさを感じられてすこ切なくなります。
マツリカあってのキリヒト、といった感じもまた良いバランスです。
『図書館の魔女』(高田大介)の好きな場面
マツリカとキリヒトが地下水道を発見し、二人で秘密裏に王宮を抜けて街へ行く場面です。
意外と好奇心旺盛でやんちゃなマツリカの姿に、年相応な少女らしい素顔が覗いていて可愛らしく思えます。
冷静なように見えて、その実、はしゃいでいる気持ちを隠しているようで隠しきれていない(キリヒトにはきっとバレている)様がまた良いです。
キリヒトとも良い関係性ができつつある場面で、2人の手話が急速に発展するのも、なるほどさもありなんと思わされます。
『図書館の魔女』(高田大介)で得られたもの
「手話」も一つの言語であるということを再認識させられました。
伝えることや、伝わることの重要さは計り知れないものであるが、その手法はさまざまであるということ。
また、書物の持つ力や言葉の持つ力、それらを統べている「図書館」という空間の偉大さや包容力を感じました。
図書館はただ、本が置いてあるだけのところではななく、さまざまの知識や知恵、事象を大切に守り育んでいるところなのだと痛感させられます。
「図書館」という場所に対して、敬意を抱くようになりました。
『図書館の魔女』(高田大介)はこんな方におすすめ
とても長くて、難解な言葉や言い回しが出て来ますが、中学生や高校生等、若くこれからまだ長い人生を生き、たくさんの選択肢がある方に読んでほしいと思います。
直接的に人生を指南しているわけではないですが、若いうちに読んだら人生観が変わる気がします。
『図書館の魔女』(高田大介)のまとめ
とにかく一度手に取ってみてほしい小説です。
文庫本では4巻にわたる長編で、正直1巻目の後半くらいまでは「一体何の話なのか」と思うこともしばしばですが、とにかく読み進めればいい意味で裏切られ、さまざまなところで伏線が張られていたことがわかり、その頃にはもうどっぷりと世界観に浸っています。
壮大なスケール感もあり、是非とも映像化してほしいと思っている作品です。
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