『本を守ろうとする猫の話』(夏川草介) ― #おすすめの本

『本を守ろうとする猫の話』(夏川草介)の概要

高校生の夏木林太郎は祖父と祖父が営む「夏木書店」で2人暮らしをしていました。

しかしそんなある日、祖父が突然亡くなってしまいます。

店を畳もうかとしている矢先。

店の奥から人の言葉を話す猫が現れ、

「本を助け出すためにお前の力を借りたい。」

と言われるところから物語は始まります。

人はなぜ本を読むのか?

本を読んで何の意味があるのか?

誰もが直面するこの問いに真っ直ぐ向き合ったファンタジー小説です。

『本を守ろうとする猫の話』(夏川草介)の好きな登場人物

『本を守ろうとする猫の話』で出てくる登場人物は誰もが本が好きな人達。

そして、本のタイトルにある通り、「誰から本を守るのか?」というと、本を好きな人達からです。

・本が好きで厳重なショーケースに保管したままにする人

・本をたくさん読みたいからこそ、あらゆる本を要約してしまう人

等。

それぞれが持つ、本の価値観によって作られた異世界を草介達は巡っていきます。

草介が対峙していく登場人物は少なからず、私達の内側にもいるような人物です。

本を守ろうとする猫の話 [ 夏川 草介 ]

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感想(3件)

『本を守ろうとする猫の話』(夏川草介)の好きな場面

最も好きな場面は第3章の「売りさばく者」で敵と対峙しているときの草介の一言。

「今日読んだ話をしよう」

誰もが目先の利益に走ってしまいそうになった時。

ノウハウやテクニックなどを求めるためだけに本に手を伸ばすことは多々あります。

別にこれが間違っているとは思いません。

ただ、それでも今の時間を目の前の1冊に注ぐ。

当たり前のようにも思えるけど、当たり前ではなくなっているのではないでしょうか?

普段から読書をしている私でもこの一言にはハッとさせられました。

『本を守ろうとする猫の話』(夏川草介)で得られたもの

本を読んでアウトプットする。

これによって私達の生活が豊かになる可能性は上がることは間違いないと思います。

ただ、このアウトプットだけに固執してしまっては、肝心の「本を読むこと」ができなくなってしまい、結果的に本そのものを楽しめなくなってしまいます。

この矛盾にどう向き合うべきかを教えてくれた本です。

すぐに本で得た学びや知識が役に立つとは限らない。

何年も先になってから気づくこともある。

だからこそ、今はこの本に向き合って読書を楽しもうって思えるようになりました。

『本を守ろうとする猫の話』(夏川草介)はこんな方におすすめ

ノウハウばかりを追い求めていたりしている方にこそ、是非ともこの1冊を手に取って欲しい小説です。

これから、本をたくさん読んでいきたい人、既に本を習慣的に読んでいるような人も、本との向き合い方を今一度考えてみたいという人におすすめの本です。

『本を守ろうとする猫の話』(夏川草介)のまとめ

小学校、中学校、高校、大学と教科書や参考書を授業で読み進め、夏休みになれば本を強制的に読まされ読書感想文を書かされる。

年が上がるにつれ絵の量は少なくなり、活字だらけになっていく。

漫画や絵本に比べても小説等の本はめくるだけでは面白さは分からないのかも知れない。

結果的に本を嫌いになる人もいる。

「本を読んで何の意味がある?」

この質問はこれまでも何度もされてきたけれど、『本を守ろうとする猫の話』に出会うまではまともに答えられませんでした。

今ならはっきりと伝えられます。

『本を守ろうとする猫の話』に全てが書いてあります。