『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』(宮部みゆき) ― #おすすめの本

『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』(宮部みゆき)の概要

袋物屋の三島屋に居候しているおちかは主人伊兵衛の姪。

おちかは許嫁を失った哀しい事件の為に実家を離れお世話になっている。

おちかの心の傷を回復する為に伊兵衛は百物語を提案する。

三島屋の黒白の間におちかと客の1対1でお客の持ち込んだ不思議な話を聞き取り、その話はその時限りの聞き捨てとする催しを始めたのだった。

『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』(宮部みゆき)の好きな登場人物

おちか…許嫁とその許嫁を手にかけてしまったおちかの想い人の凄惨な事件に会い自分自身傷をおってしまっていましたが、百物語を行ううちに自分の傷と向き合い少しずつだけど前に向き合い始める姿に注目です。

あんじゅう…人に恋い焦がれながらも人とは生きられない切ない命を持った不思議な妖。

その姿が黒い豆粒のようで、しかし姿はブヨブヨと変化します。

言葉を流用にはしゃべれないけど音や歌は発します。

そんな姿がとても可愛らしい登場キャラクターです。

加登新左衛門…あんじゅうの正体を見破った頑固な人嫌いのお爺さん。

不器用だけど真っ直ぐな性格が魅力。

また奥さんの初音さんもとても心優しいけど気丈な女性で憧れる存在です。

『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』(宮部みゆき)の好きな場面

あんじゅうが住む紫陽花屋敷に移り住んできた新左衛門と初音の様子をこっそりとうかがうあんじゅう。

初音が夕飯用に用意したとろろをひっかぶってしまってとても痒がってぶるぶるふるえて泣いているあんじゅうがとても可愛らしく思います。

あんじゅうの正体に気付いた新左衛門があんじゅうに別れを切り出す時の言葉がとても切なくも優しい言葉が印象的で、再び紫陽花屋敷を訪れた時にはあんじゅうの姿も気配も全くなかったという所がまた哀しいのですが、安易なハッピーENDではない所が更に魅力的です。

『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』(宮部みゆき)その本で得たもの

人の事が信じられない、自分の息子や孫ですら心から愛しいと思った事が無い新座衛門の心情は共感しました。

そして漸く定年後に隠居して人と関わらずに生きたいと願った新座衛門が寺子屋に努める事にしたのも、人が恋しいけど人と強く接すると消えてしまう不思議な哀しい存在のあんじゅうを通して変わりました。

人を見下す事はおろかな事であり、生きていくには必ず人と接する事…考えれば当たり前の事のその大切さに改めて気づきました。

『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』(宮部みゆき)はこんな方におすすめ

三島屋シリーズはカウンセリング小説で物語を話すお客さんそれぞれの体験や人生を伴っています。

なのできっと共感できる話があると思うので生き方や自分自身に悩んでいる人に是非読んでもらいたいです。

容赦なく描かれているので厳しくも優しい回答が見つかると思います。

『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』(宮部みゆき)のまとめ

代表作のあんじゅうはとにかくあんじゅうの可愛さが魅力的で、特にハードカバーの挿絵は注目してほしいところです。

おちかが少しずつ心を開き成長していく姿は思い悩む事だらけの読者にとても共感でき応援されるのではないでしょうか。

またおちか以外にも沢山の人物が登場し、三島屋の面々やおちかのほのかな想い人青野先生等それぞれが個性豊かで物語を広げています。

シリーズものではありますがどの話も独立しているのでどこから読んでも大丈夫なので気楽に読み始める事が出来ます。

あんじゅう 三島屋変調百物語事続 (角川文庫) [ 宮部 みゆき ]

感想(20件)

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