『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー) ― #おすすめの本

『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー)の概要

架空の都市(直訳すれば豚追い町)で起きた殺人事件(カラマーゾフ3兄弟の父親が殺害された)を軸に、その後の裁判の進展で様々な人間ドラマが展開される。

現実の時系列を無視しているとさえ言われるほど緩慢な時間が小説内で流れるのは、それだけドストエフスキーの人間描写が精密だからである。

カラマーゾフの兄弟 上巻

『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー)の好きな登場人物

カラマーゾフ3兄弟の末弟、アリョーシャの描写に作者のドストエフスキー自身、並々ならぬ心血を注いでいます。

読む者の心をとらえて離さない精彩を、わずか15歳の聖職者がこの物語の中で放ち続けます。

ドストエフスキーが作中言うように、この聖職者が登場すると、誰もが心の中を温かい感情で満たされ特別な天秤を感じずにいられません。

アリョーシャが証言台に立てば、裁判官も思わずその言説に衷心から聞き入り、同情的な眼差しを差し伸べます。

『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー)好きな場面

元軍人ながら退役後は乞食のような哀れな境涯に落ちた父親と二人で暮らす息子のイリューシャは、父親をバカにする近所の悪ガキにも臆せず敢然と石ぶちをして立ち向かいます。

とりわけ物語の最後で、可哀相な少年イリューシャが亡くなり、喧嘩を通じて仲間になった少年たちが野辺送りする場面は深く感動的です。

そこでアリョーシャが集まった少年たちに言いました、

「今こうして我々を一つにしてくれたのは、父親のために一人で立ち上がった勇敢なイリューシャ君でなくして誰でしょう。

美しい思い出をたくさん集めて人生を作り上げた人は必ず幸せになることが出来る。

しかし、たった一つしかそうした思い出が心の中に残っていないような人でも、その追憶がいつかその人を幸せにするのに役立つ」

という言葉は、永遠性を持ちます。

『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー)で得たもの

母校の図書館が教員に向けたアンケートを行い、

「学生に読ませたい本を1冊選ぶとすれば」

という企画を行った中で、この本が紹介されていました。

紹介した教員は学生時代に読んでその後の人間に対する見方が変わり、人生が変わったと述懐して、人間がどう生きればよいかをドストエフスキーに教わったと書いていました。

この本とドストエフスキーは、人間はどう生きればいいのかを教えてくれました。

カラマーゾフの兄弟 中巻

『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー)はこんな方におすすめ

学生生活を送る青少年が、これからの人生を作るに際して是非読んで欲しいです。

特に何をすれば分からないで悩んでいるような時であれば、理屈抜きに読んで欲しいと思います。

何をするにも根底には”人間”があるからです。

『カラマーゾフの兄弟』(ドストエフスキー)のまとめ

ドストエフスキーは、この本の執筆後数ヶ月して突如、亡くなりました。

この小説の構想を練っているとき、ドストエフスキーは親しい編集者に書き送った手紙の中で、

「この本を書き終えたら死んでもいいくらいです。」

と述べています。

しかし、ドストエフスキーはこの小説の続編を書く構想を温めていたと言われています。

期せずしてこの小説が、彼の絶筆になってしまいました。

それだけにアリョーシャに仮託させた最後の説話は、人間ドストエフスキーがもっとも言い残したかった言葉だったのではないかとも受け取れます。

「美しい思い出で人生を作り上げて行こう」

カラマーゾフの兄弟 下巻

カラマーゾフの兄弟―まんがで読破

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