『カラフル』(森絵都)の概要
気が付くと主人公は死んでいた。
そこへ目の前に天使が現れて、主人公は罪を犯したので本来は消えてしまうはずだが、抽選に当たったので今からテストの為に新しく人生をやり直せと言いう。
拒否するも受け入れられず、今死んだばかりで空っぽになっている人間・小林真の中に入り「テスト」とやらを受けることになるのだった。
感想(136件) |
『カラフル』(森絵都)の好きな登場人物
好きな登場人物は、天使のプラプラです。
いつも何が書いてあるか分からない本と変な傘を持っていて、主人公を何だかんだ言いながら優しくサポートしてくれます。
心優しい文字通り天使のようなモードの時と、服装も言葉遣いも少しガラが悪くなる、本人曰く「素」に近い「下界モード」があります。
主人公の犯した罪を知りながら、最後まで彼の為に友人としてアドバイスしたり助けてくれたりしたプラプラの本当の意味での優しさに心惹かれます。
『カラフル』(森絵都)の好きな場面
一番好きな場面は、終盤の美術室での主人公と佐野唱子とのやり取りです。
物語の核心に触れる場面となっていて、その情景が目に浮かぶような描写も素晴らしいです。
読むだけで主人公と佐野唱子のやり取りや表情、美術室の様子、画材の匂い、外の天気、雷や雨や風の音が鮮明に浮かんできます。
今まで主人公や読者が頭の隅で疑問に感じていたこと全てがこの場面で一つに繋がり、クライマックスへと進んでいきます。
『カラフル』(森絵都)から得たもの
初めの頃の主人公は、元の体の持ち主である小林真と同じように、家族やクラスメイト達の目に見えるところだけで判断して人間関係を築いていっていました。
後にそれが粉々に砕かれて小林真に同情するようにまでなりますが、徐々に見方が変わっていきます。
それぞれの人の本当の思いや本質を知り、再び立ち直っていきます。
多くの場合、特にSNS等が普及した現代においては表面上の言動だけで判断してしまいがちですが、主人公のように人の背景を知る努力をするべきだと感銘を受けることでしょう。
『カラフル』(森絵都)はこんな方におすすめ
ぜひ思春期真っ只中の小・中・高校生に読んでもらいたい作品です。
思春期独特の悩みや葛藤を鮮明に描き出しています。
同時に、若者が学んでいかなければいかないこと、成長していかなければならない点を教えてくれる教科書のような面もあると感じます。
『カラフル』(森絵都)のまとめ
思春期は生や死についても考える時期です。
そして残念なことに自ら命を絶ってしまう若者もいます。
でも、そうなってしまう前に立ち止まって自分の周りをもう一度見回してみると、
「世界は”カラフル”なものにあふれている、だから前を向いて一歩踏み出そう!」
そういう作者からのメッセージを感じる本です。
また、森絵都先生は少年少女を描き出すのがとても上手なので、若者だけでなく「あの頃に戻りたい」という大人にもおすすめです。
合わせてご覧下さい。