『死神の精度』(伊坂幸太郎)の概要
主人公の千葉は、音楽が大好きな死神で、一週間対象となった人間を観察し「可」か「見送り」を判断します。
「可」になればその人は亡くなり、「見送り」になれば生き延びることができます。
人間の生死を判断するのが彼の仕事なのです。
彼は様々な人間と出会い、それを判断していくという形でストーリーが進んでいきます。
主人公の千葉は、音楽が大好きな死神で、一週間対象となった人間を観察し「可」か「見送り」を判断します。
「可」になればその人は亡くなり、「見送り」になれば生き延びることができます。
人間の生死を判断するのが彼の仕事なのです。
彼は様々な人間と出会い、それを判断していくという形でストーリーが進んでいきます。
感想(312件) |
『死神の精度』(伊坂幸太郎)の好きな登場人物
好きな登場人物は、荻原という男です。
死神の精度は短編が繋がって一つの作品になっているような小説ですが、その短編の中の「恋に死神」という話の中に登場します。
荻原は向かいのマンションに住む古川朝美という女性に恋に落ち、2人とも惹かれあっていきます。
ある日、彼女が荻原と主人公の千葉(死神)に変な電話が来ることを相談します。
その後、彼と彼女と死神がどう関与していくのか、彼らの恋はどうなっていくのかが見ものです。
『死神の精度』(伊坂幸太郎)の印象的な場面
好きな場面は、千葉の調査対象である美容院を営む70過ぎのお婆さんが、千葉が訪れた時に彼が死神であることを初めから気づいていた場面です。
彼女は怯えもせず、死神である千葉にお願いをしてきます。
それは、若者に声を掛けて、十代後半の男女4人を明後日お店に連れてきて欲しいというお願いでした。
千葉は、理由も分からないまま繁華街で人を集めます。
なぜ、お婆さんは人を連れてきて欲しかったのかは当日に判明し、また、それまでの他の短編と繋がっていく大事な場面です。
『死神の精度』(伊坂幸太郎)で得られたもの
人間にとって「死」とは、重く逃れられない、どちらかというと負の出来事ですが、この小説を読んでいて新しい見方ができるなと思いました。
死神にとって人間の死の判断は、私達が物を捨てるか捨てないか悩んでいる程度、もしくはそれ以下かもしれません。
読んでいて、本当に死神に観察されて判断されているのだとしたら世の中簡単に亡くなってしまう人がいるのも、根気強く生き続けられる人がいるのも理解ができます。
「死」がすごく重いもの、苦しいもの、悲しいものから「仕方のないもの」「抗えないもの」に移り、少し恐怖が軽くなった気がします。
『死神の精度』(伊坂幸太郎)はこんな方におすすめ
短編小説が連なって最後の結末に落ち着くような話なので、長編を読むのが苦手な方や伏線回収が好きな方に向いている本だと思います。
また、身近な人を亡くしてしまった方や生死について悩んでいる方にも、読んでもらいたい作品です。
『死神の精度』(伊坂幸太郎)のまとめ
小説の『死神の精度』という題名ですが、この中にある短編の題名でもあります。
死神が対象となった人の生死を判断するものの、それは結構適当に判断されていて精度が低いものです。
その死神の一人である、主人公の千葉は人間の死に対してどういう判断をするのか、彼の判断の精度はどうなのかというところがこの小説の中では大事なところなのではと思います。
死神の精度によって人間の生死が分かれる・・・
自分を観察してくれる死神は、どんな判断を下す死神なのだろうかと考えてしまいます。