『自信のない部屋へようこそ』(雨宮まみ)から学ぶ自分らしい部屋 ― 『大人の読書感想文』

「断舎離」という言葉が流行り始めてずいぶん経ちました。

あなたの部屋は片付いていますか?

今では欧米でも「断舎離」は認められて広がっているようです。

仕事の上でも「断舎離」という言葉が流行る前から、“整理整頓”はあらゆる職場でも常に言われていることです。

工場や倉庫、作業現場では事故防止や作業効率化の為に必要です。

お客様が行き来する店舗では、もちろん乱雑にしているわけにはいきません。

さらには陳列を整理整頓することにより、お客様に商品の魅力をアピールすることも出来ます。

しかし、そういった物質的な整理整頓だけでなく、心の整理整頓が出来ることが今最も注目すべきところではないでしょうか。

実際に“物”に対する要不要の判断を下し、執着を捨てることは“情報空間(心)”においても要不要の判断や執着を捨てることにつながります。

今回の『大人の読書感想文』の作者の方は『自信のない部屋へようこそ』(雨宮まみ)からヒントを得て、悩んでいた自分の部屋の整理整頓について解決していったようです。

自信のない部屋へようこそ


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『自信のない部屋へようこそ』(雨宮まみ)から学ぶ自分らしい部屋 ― 『大人の読書感想文』

■部屋が物で溢れていく

私がこの本に興味を持ったきっかけになったのは、自分の部屋の整理整頓について思い悩んでいたからです。

もともと読者が趣味であり、好きな小説は1度読み終わった後でもいつまでも手元に置いて起きたいタイプでした。

単行本として刊行された作品を購入した後でも文庫本で違う装丁のバージョンが発売された途端に、ついつい欲しくなってしまうのは困ったものです。

旅行に行く機会も多いのですがその土地の伝統工芸品や名産物などそっちのけで、古本屋に立ち寄って稀覯本や絶版本を探してしまいます。

新しく購入した本棚にも収まりきらなくなってきて収納場所に困りきっていた時に、1冊の不思議な本に巡り合いました。

■部屋をこじらせて

『自信のない部屋へようこそ』は、2015年の10月2日に雨宮まみによってワニブックスから刊行されたノンフィクションエッセイです。

自分自身の女性としての性に対して上手く向き合うことの出来ない若い世代の人達を、初めて「こじらせ女子」とネーミングしたのが著者です。

ライフスタイルや恋愛観だけではなく、映画や舞台まで幅広いジャンルに造詣が深いところに惹き付けられました。

本書の中でも1Kの部屋からより快適な家へと引っ越しを目指していき、ついにはマンション購入にまでたどり着いていく展開には驚かされました。

欲しいものはどこまでも貪欲に追いかけていき、時には失敗する様子も微笑ましかったです。

■部屋は自分にとって心からくつろげる場所

初めてこの本を読んだ時には、「部屋を人に見せることには、自分の裸を見せるような抵抗があった」というセリフが味わい深かったです。

福岡県から上京して都内でひとり暮らしをしながらライターとして在宅ワークを続けてきた筆者の家は、女性らしいインテリアやお客さんにくつろいでもらえるスペースも用意されていません。

その一方ではお金をかけることなく自分の好きなものに囲まれた、心地よい空間を演出するコツを学ぶことができました。

単に欲しいものを集めていくだけではなく、自分にとって必要なものといらないものをしっかりと見極めて思い切って捨ててしまういさぎよさも参考になりました。

■気楽で自由なそれなりの部屋

この本を読んだことで読み終わった本に執着することなく、古書店で売ることができるようになりました。

また地元の図書館を積極的に利用するようになり、今の自分にとって1番必要な1冊だけを厳選して買うようにしています。

自分らしい部屋について迷っている方には、是非手に取って頂きたいです。

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いかがでしたか?

「断舎離」、“整理整頓”は物質的な片付けの方法とだけ捉えられてしまうことも多かと思います。

今回の『自信のない部屋へようこそ』(雨宮まみ)の内容や、『大人の読書感想文』の作者の変化はそれだけでないことを表していると思います。

私自身の経験ではありますが、物質的な整理整頓をすることにより、そこで培った取捨選択の基準を“情報空間(心)”に適用し、仕事や生活の役に立てることが出来ました。

例えば、あるアミューズメント施設で勤務していた頃、毎月数種類のイベントを行っていました。

そのほとんどのイベントは以前からあり、従業員の誰もが何の疑問もなく当たり前のように行っていました。

ある時、“整理整頓術”を扱う本を参考に事務所の片付けを行った後、ふとその他の事にも応用出来ないかと思いました。

イベントやその他企画、扱う商品等にも人気・売れ行きの良いもの・悪いもの、適正な回数・個数が見つけることが出来るのではないかと。

実際に毎月行っている数種類のイベントの見直しに適用してみました。

各イベントの参加者数・参加している常連様・年齢層等を調べることにより、有効なイベントか労力の割には効果の無いイベントに仕分けました。

それは見た目だけの人気の“ある・なし”だけではなく、参加人数は多いがその為に掛る人件費・労力に見合わないイベント、参加人数こそ少ないものの客単価が大きく労力の掛らないもの、全くやらないよりやった方が有効なもの等です。

また、イベントの回数も調整してみて、適正な回数を見つけていきました。

少な過ぎても収益は得られず、お店自体の盛り上がりも欠けます。

多過ぎてもお客様が分散して一つ一つのイベントが盛り上がらず、イベント自体の参加者も減っていき収益は減少していきます。

こうして有効なイベントは継続し、有効でないイベントは改善を図ったり新たな企画を立案し、その回数も調整して収益を増やすことが出来ました。

上記は1つの例ではありますが、見渡せば個人的・組織的、生活・仕事を問わず、「断舎離」、“整理整頓”が一般的に考えられるそれだけの意味ではなく、幅広く適用させることが出来ると思います。

「部屋が片付いて心がすっきり・・・」

・・・だけでない、深い意味を感じます。

とりあえず、部屋が散らかっている方は身の回りを片付けることから始めてみましょう。

実践してみれば、部屋が片付くと同時にあなたの心の中も片付いていくことを感じられるでしょう。