『すぐ死ぬんだから』(内館牧子)の概要
主人公の忍ハナは78歳ではあるものの、外見に磨きをかけた若々しい老人でした。
しかし、最愛の夫・岩造を亡くしてから人生が一変します。
何と岩造にはある秘密があったです。
そして、その秘密を知ってしまったハナは、ある行動に出ることになるのですが・・・。
『すぐ死ぬんだから』(内館牧子)の好きな登場人物
好きな登場人物は、主人公ハナの息子の嫁となる由美です。
ちなみに由美は、自営業の酒屋の仕事はせずに、絵描きばかりをしている人物となっています。
当然、そんな嫁をハナが気に入ることもなく、ハナは由美をけなすのですが、それに対抗してくる由美も皮肉が混じっていて面白いんです。
由美と由美の娘、ハナの3人で歩いていく様子でも、2人のちょっとした戦いが繰り広げられていくので面白いです。
また、全体を通して、酒屋がハナの生きる道となっていくので、その辺も見どころとなっています。
『すぐ死ぬんだから』(内館牧子)の印象的な場面
好きな場面は、ハナが妾の病院に乗り込んでいく場面です。
ハナとは真逆のタイプで、清楚なイメージの妾の登場シーンが逆に面白く感じました。
また、本妻として精一杯のオシャレをして階段を登っていくハナの気合いも感じられて面白かったです。
互いの子供をハナが比較してしまう場面が意外とあって、その辺も面白く感じました。
環境と片方の遺伝子が違うだけで、こんなにも差が出るものなのかと思ってしまったのも事実です。
『すぐ死ぬんだから』(内館牧子)で得たもの
年齢には抗えないからこそ、自分がどういう老人になりたいのか、そのためにはどうしたらいいのかを考えなければならないと思いました。
また、老人があんなに人をけなしたりするのはなぜなのだろうといつも思っていたのですが、『すぐ死ぬんだから』(内館牧子)を読んで、なんとなくその意味が分かったような気がします。
誇りある歴史が確かにあるからこそ、色々な物事を認めにくいのだなと感じられたのです。
親世代の気持ちを知るいい本になると思います。
『すぐ死ぬんだから』(内館牧子)はこんな方におすすめ
2世帯家族で疲れている方に読んでみて欲しいです。
嫌な姑や舅の気持ちが少しは分かってくると思います。
逆に、60歳以上の高齢者の方にもおすすめです。
言いたいことをズバッと言ってくれる痛快な本になっていると思います。
『すぐ死ぬんだから』(内館牧子)のまとめ
この本の最大の魅力は文体です。
作者・内館牧子氏だからこそ書ける痛烈な文章に、きっとスカッとすると思います。
高齢者に勇気を与えてくれるような一冊となっているので、人生はまだまだこれからだとやる気になれるはずです。
また、どの会話シーンもテンポがよく、読みやすいのであっという間に読みおわれるのも特徴です。
起承転結がハッキリしているので、飽きなく読み応えのある作品となっています。
ぜひ夫婦で一緒に読んでみてもらいたいです。
感想(9件) |