『赤めだか』(立川談春)の概要
落語家・立川談春のエッセイ。
今は大人気の落語家となった立川談春が、なぜ師匠・立川談志に入門することになったのか。
落語会でも特に異彩を放っていた立川談志の弟子としての生活はどんなだったのか。
談春が真打になるまでの経験や考えたことがまとめられている。
『赤めだか』(立川談春)の好きな登場人物
やはり師匠の立川談志には興味をそそられます。
弟子目線での姿が描かれているからなのか、落語に疎い方でも見聞きした数少ないエピソードから「変わった人」「怖そうな人」「破天荒な人」というイメージがある立川談志師匠。
しかし、このエッセイを読むともっと人間らしく、弟子思いで身近な存在であるような気がします。
そして「落語」という伝統芸能が、「伝統芸能」という格の違う場所にあるものではなく、もっと身近なものとして見えるようになってきます。
『赤めだか』(立川談春)の好きな場面
立川談志が弟子達に夕食のチャーハンを作る一瞬の描写です。
この場面は、元々師匠・談志の言いつけに対しての弟子達の反応を描いたところですが、最後にに談志が夕食を作ってくれ、またその夕食がおいしくないこと、でも最後にはみんなが笑顔になれること、その一瞬のために弟子達が奔走することが描かれています。
落語会の中では異端児とされた談志ですが、親近感の湧くこの描写にこの一門の温かさを感じます。
『赤めだか』(立川談春)で得たもの
一番わかりやすいところでは、「落語」に対するイメージが変わったところです。
もっと敷居が高く知識がないと楽しめないもののように感じていると思いますが、決してそんなことはないと感じるでしょう。
また「○○派」というのを聞くと家柄がもっと重視されているものかと思っていましたが、そうではありません。
また、この談春という人の他人を見る目に温かさを感じ、感動します。
面白おかしく話しているようで、実はとても温かい。
だからこの人の周りにもいつも人が集まってくるのではないかと思います。
実際、このエッセイの中にはたくさんの人が出てきます。
その人達と談春との交流は、一人の大人として読んでいてほっとするような気持になります。
『赤めだか』(立川談春)はこんな方におすすめ
「落語」に興味がない方、そもそも知らない方にはまずおすすめしたいです。
立川談志や立川談春あるいは立川志らく、と名前は聞いたことあるけどよく知らないという方はこの機会に『赤めだか』(立川談春)を読んで頂き、ぜひ知って頂きたいですね。
また単純にドタバタ劇が好きな方にもおすすめです。
『赤めだか』(立川談春)のまとめ
『赤めだか』(立川談春)に付いていた帯には「サラリーマンより楽だと思った。とんでもない、誤算だった。」という二文が引用されていました。
とにかくこの二文に、このエッセイの中身のすべてが詰め込まれているような気がします。
夢を叶えること、そもそも夢に出会うことがよくわからないと思う方にはぜひ読んでみてほしい一冊です。
自分が夢を見つけて叶えられるかは別として、この立川談春という人の経験を追体験することはできると思います。
そしてその追体験は、とても刺激的なものです。
コロナで青春が奪われた人も多くいると思います。
心にぽっかり開いた穴をどうにかしたいなという時には、『赤めだか』(立川談春)はぜひおすすめです。
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