『赤毛のアンシリーズ』(新潮文庫・村岡花子訳) ― #おすすめの本

『赤毛のアンシリーズ』(新潮文庫・村岡花子訳)の概要

カナダ、プリンスエドワード島の田舎の村アヴォンリーに、兄妹で暮らす歳を取った2人が、農作業の手伝いのために孤児院からみなしごの男の子を引き取った。

兄マシューがブライトリバー駅まで迎えに行くと、そこに待っていたのは男の子ではなく、ひっきりなしに空想を話し続ける、感受性の強い赤毛の女の子でした。

手違いだったものの、アンを引き取ることにした2人。

アンは想像力が豊かで、それゆえに楽しい出来事や、たくさんの失敗が次から次へと巻き起こります。

まっすぐでひたむきに生きてきた少女が、初めてたくさんの愛をもらい、素敵な女性に育っていくお話です。

『赤毛のアンシリーズ』(新潮文庫・村岡花子訳)の好きな登場人物

もちろん愛おしいキャラクターは、主人公アンにほかなりません。

アンは幼いころから想像力を働かせ、すべての植物や自然と話をします。

たくさんの失敗をしますが、それも彼女の個性ゆえ、もう一度同じ失敗をしないところが良いところです。

アンはとにかくしゃべります。

マシューに連れられて駅から家にやってくる時などは、旧型の新潮文庫のあの小さい文字で、おおよそ1ページ半一気にしゃべり倒します。

その感受性豊かで奔放なアンを優しく見守る老兄妹マシューとマリラも魅力的です。

決して欠点のない2人ではなく、むしろガンコで不器用なところばかりの2人ですが、どんどんアンを愛していきます。

心の友ダイアナとともに、気に入った場所に「輝く湖水」「歓喜の白路」など美しい名前をつけ、その世界はとても美しく豊かです。

意地悪な子も登場しますが、アンの味方はみな優しく愛にあふれた素敵な人達ばかりです。

『赤毛のアンシリーズ』(新潮文庫・村岡花子訳)の好きな場面

まずは一番最初に、駅から家まで馬車に乗って連れられてゆき、有頂天になり喋りまくる場面です。

アンの性格が一番良く出ているシーンです。

アンの少女時代の出来事はどれも楽しくユーモラスなのですが、その中で泣けるほど良いシーンは、マシューがアンにクリスマスのプレゼントをしてあげるところです。

不器用なマシューが、かわいいアンを喜ばしてあげたくて、悪戦苦闘します。

それがコミカルで面白く、愛にあふれて感動的です。

『赤毛のアンシリーズ』(新潮文庫・村岡花子訳)は10巻ほどあり、あまり知られていませんが、中盤ぐらいでアンは大人になり結婚をし初めての出産をします。

そこで試練と立ち向かうことになります。

とても感動的なので、是非そこまで読んでほしいです。

『赤毛のアンシリーズ』(新潮文庫・村岡花子訳)で得たもの

赤毛のアンと言うと、多くの人は、赤い髪の感受性の強い女の子の少女時代の話、と思うでしょう。

ですが実は、新潮文庫の『赤毛のアンシリーズ』(新潮文庫・村岡花子訳)は、その後も続き、高校、大学、就職、転職、結婚、家庭と、巻を追うごとに人生のステージが変わっていき、大人になって行く人生の話なのです。

引き取られてからは、なんだかんだと順調に生きてきたアンですが、結婚をして大きな挫折を体験したり、戦争に絡んだつらい話も出てきます。

感受性の強いアンはもちろんそのたびに傷つきます。

ですが、アンは持ち前のユーモア精神とあかるさたくましさで、様々な人生の出来事を乗り切っていくのです。

同じ出来事も、考え方によって乗り越えられる。

いろいろ辛いことが起きても、人生はそういうものだ、みな一緒なのだと思うことができます。

『赤毛のアンシリーズ』(新潮文庫・村岡花子訳)はこんな方におすすめ

『赤毛のアンシリーズ』(新潮文庫・村岡花子訳)は、女性の方に是非読んでもらいたいと思います。

その人の年齢によって、気に入る巻が違うと思います。

若い頃は若い時代のアンを、結婚すれば大人になったアンを、楽しく読めると思います。

女性の人生を豊かにしてくれる本だと思います。

翻訳も女性で、以前ドラマにもなりましたが、村岡花子さんが担当しておられました。

英語版の原作の赤毛のアンを読んでみると、いかに村岡花子氏が登場人物に愛情をもって翻訳していたのかがわかります。

女性なら、「わかるわかる」とクスクス笑うところが多いと思いますよ。

『赤毛のアンシリーズ』(新潮文庫・村岡花子訳)のまとめ

単なる童話と思われがちな「赤毛のアン」ですが、これは決してそれで終わらない女性の人生の物語です。

最後の方の、アンの子供達が大人になっていくところまで読めば、きっと「こんな話だったのか…」と、驚くと思います。

アンのユーモアあふれる毎日、自然が美しいプリンスエドワード島、緑の屋根の家グリーンゲイブルズ、ふんだんに登場するスコーンやタルトなどのカントリー菓子、愛嬌ある個性豊かな村人達、なかなかくっつかない2人へのもどかしさ…。

女性が大好きな世界が詰まったお話です。是非、アンの人生を、自分の人生を重ねながら読んでみて下さい。

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