『天使の卵-エンジェルス・エッグ』(村山由佳) ― #おすすめの本

『天使の卵-エンジェルス・エッグ』(村山由佳)の概要

主人公の歩太は、芸大を目指す浪人生。

歩太は、ある日電車の中で出会った人に一目惚れをします。

歩太には、精神を病んで入院している父親がいて、その父親に見舞いに行った時に、新しく担当医として配属された女医に出会います。

それは、自分が一目惚れした女性でした。

どこかで見たことがあるような気がしていた歩太ですが、それは自分の付き合っている彼女の姉でした。

自分の未来も定まらず、いつか自分も父親のようになるのだろうかという不安を抱えながら、出会った女医の春妃(ハルヒ)に惹かれていく歩太。

けれど、春妃にも過去に大きな心の傷を負っていて・・・。

若い恋、不安定さと一途さが詰まった作品です。

『天使の卵-エンジェルス・エッグ』(村山由佳)の好きな登場人物

主人公の一本槍歩太です。

自分の将来も見えず、父親の病から自分という土台を掴みきれないという不安定な気持ちを抱えていながら、一途で熱い気持ちを秘めている感じがするのが好きです。

10代でありながらどこか精神的に大人な感じがします。

ですが、若さゆえか姉妹の気持ちを汲み取れきれないという幼さも見せます。

この話のまま終わると、あまりこの主人公を好きになれない方もいると思いますが、彼らのその後が気になる方は、続巻があるのでおすすめします。

『天使の卵-エンジェルス・エッグ』(村山由佳)で心に残った場面

歩太と春妃がプレゼントを贈り合う場面です。

この時の場面からか、この本のタイトルからか、『天使の卵』というアクセサリーブランドができています。

春妃の儚いイメージに歩太がどういう印象を抱いていたのか分かるプレゼント。

そして、本当に人に恋した時にプレゼントをし合う、この話の中で一番幸せで心温まる場面です。

冬の寒い場面でありながら、暖かさを感じます。



『天使の卵-エンジェルス・エッグ』(村山由佳)で得たもの

愛と言うには幼い、恋をした人の物語です。

人を好きになることは、とても美しいけれど幸せなだけでなくて、誰かを傷つることもある。

けれど、傷つけてもやめられない。

どうしてもと思う気持ちもあるんだということです。

言葉にするととても単純で、あらすじだけを読むととても陳腐なのですが、とても美しいものがあるというのが、どこまでも青春物語なのだと思います。

最後は胸がえぐられるような展開になるのですが、この後の主人公達がどう生きていくのか気になって仕方がなくなる方も多いと思います。

続編もおすすめで、読んでいくとどの登場人物の気持ちも理解できて、さらに心揺さぶられます。

『天使の卵-エンジェルス・エッグ』(村山由佳)はこんな方におすすめ

歩太と同じ年の方々に読んでほしいと思います。

今のように携帯電話が普及した時代ではなかったので、今とは勝手が違うとは思うのですが、心のありようというのは変わらないと思います。

また恋をしたいと思っている方、純愛に興味がある方にも読んでもらいたいと思います。

『天使の卵-エンジェルス・エッグ』(村山由佳)のまとめ

若い時に読んでもらいたい作品です。

若い時だからこそ抱える自分に対する不安、そんな不安定な頃にする恋。

それはとても陳腐で、とても身勝手です。

しかしそれがとても美しいものに見える・・・、珠玉の作品です。

そして、できることなら、この作品でその後が気になる、彼らがどういう気持を抱えて生きていくのかを知りたい方は、シリーズを読んでいってもらいたいと思います。

歩太もシリーズの中で、年齢をおっていきますが、読み手の年齢と重ね合わせて読みすすめると、その時々に自分の気持ちがどのように変わったかを感じることもでき、それがいつでも新鮮な気持ちになります。

天使の卵(エンジェルス・エッグ) (集英社文庫) [ 村山由佳 ]

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