『古典部シリーズ』(米澤穂信)の概要
「やらなくてもいいことならやらない。やらなければいけないことなら手短に。」
がモットーの省エネ主人公、折木奉太郎が好奇心旺盛な千反田える、データベース担当の福部里志、童顔で率直な性格の伊原麻耶花、の3人と共に日常生活で起きる謎を解決していく物語である。
『古典部シリーズ』(米澤穂信)の印象的な登場人物
好きな登場人物は自分と考え方が似ている点から主人公の折木奉太郎です。
小学校時代、担任の先生や同じ委員会の同級生に便利屋として扱われた経験から、省エネ主義を貫く主人公。
他人にさほど興味がなく、自分に関係ないことは基本的に首を突っ込まないめんどくさがりなのか、安全志向なのか一言で言い表すのが難しい人物です。
学生時代または今現在、主人公と同じような扱いを受けた方なら性格に似た部分があり、非常に共感できるのではないでしょうか。
『古典部シリーズ』(米澤穂信)の好きな場面
『鏡には映らない』という話で、主人公自らが犠牲になって同級生を助ける場面です。
中学校の卒業制作として鏡の枠(レリーフ)を作成する話ですが、主人公自らが担当した部分だけ完成図とは違ったため、作図担当の子から顰蹙(ひんしゅく)を買うことになります。
その一件がきっかけで主人公は教室に居られなくなり、図書室がほとんどの時間を過ごすことになります。
しかし、実際に主人公が取った行動は作図担当の悪意あるメッセージを妨害するためにした賞賛されるべきものであり、物の見方を一方的に決めつけてはいけないことを思い知らされる名場面です。
『古典部シリーズ』(米澤穂信)で得たもの
映画制作の話の中で「才能」に関する話が出てきますが、そのストーリーを読んでから「才能」とは時に残酷なものであることを学びました。
日常社会でも言えることですが、「才能」は少なからずある物だと思います。
しかし一番タチが悪いのは「才能ある」人が自分が今までしてきた功績や結果に対して、「たまたまそうなった」と答えることだと思います。
一見、謙虚な発言ですが違った見方をすると、才能がない人にとって嫉妬や歯痒さを感じさせる発言でもあります。
この場面を読むと、「才能」とは時に羨望を浴び、時に嫉妬を招く厄介な存在だと感じてしまいます。
『古典部シリーズ』(米澤穂信)はこんな方におすすめ
人が死なないミステリーを追い求めている人や「こういう青春時代を送りたかった」と青春群像劇な作品を読みたい人におすすめしたいと思います。
主人公と同世代の学生には特に共感できることも多くおすすめします。
『古典部シリーズ』(米澤穂信)のまとめ
古典部シリーズはミステリーあり、青春あり(恋愛も少しあり?)、人間らしさ(嫉妬や羨望など人間特有の感情)あり、の三拍子揃った作品だと思います。
現在は6巻まで刊行されていますが、どの巻も読みやすく登場人物も異世界ものや大所帯の部活小説に比べて少ないので、各キャラクターの一人ひとりに感情移入しやすい作品になってると思います。
また出てくる日常の謎も複雑なものではないので、解けそうで解けないものが多いのでそこがまた作品の魅力になっています。
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