『アルスラーン戦記』(田中芳樹)の概要
パルス歴320年、皇太子アルスラーンの初陣から話は始まる。
アルスラーン14歳の初陣で、パルスという国はルシタニアという敵国に敗し、王都エクバターナを奪われることとなる。
奪われた王都エクバターナに住む国民は、敵国ルシタニア人に命を脅かされ、死者も多く出た。
生き残ったアルスラーン殿下が頼もしい仲間とともに、王都を奪還するための、胸が熱くなるファンタジー。
『アルスラーン戦記』(田中芳樹)の好きな場面
アルスラーンが王都を奪還する場面です。
最後の意外な終わり方に一時息をするのを忘れてしまいました。
アルスラーンが聖剣を手に入れる場面が神がかっており、忘れられない伝説の場面の一つです。
アルスラーンと元奴隷の子である従者のエラムと友達になりたいと言葉にし、友好関係を築いていくところは、嬉しくて涙を流さずには読めません。
アルスラーンが、ナルサスの旧友を奴隷商人に売るという厳罰を下した場面・・・
エトワールが金貨を手に涙する場面・・・
アルスラーンが私財のほとんどを自分の仲間や、戦死した兵士の遺族たちに惜しげもなく分け与えた場面・・・
多くの名場面があります、ぜひそれぞれを噛みしめて頂きたいと思います。
『アルスラーン戦記』(田中芳樹)で得たもの
本来人類は皆平等であり、”奴隷”という人が人を所有物のように扱う行為はいけないのだという原点です。
これは今の世の中でも、人買い人売りに限らず、親が子を所有物のように虐待する事件も、あってはならないのだと教えられた気がすることです。
一番印象的なセリフは、アルスラーンが言った
「どうも自分は宿命というものがあまり好きではない。そんな言葉は、自分で何かを選択するのに責任を取りたくない人間が、他の大きな力のせいにするにすぎない」
「寛大な主人の元に奴隷であること、これほど楽な生き方はない。自分で考える必要もなくただ命令に従っていれば、家も食事ももらえるのだから」
という言葉に、大いに考えさせられました。
『アルスラーン戦記』(田中芳樹)はこんな方におすすめ
流されるまま、自分の意思なく自分の人生を歩んでいる全ての人に読んでほしいです。
そうして、自分の人生の指針が揺れそうなとき、自分の中の人間としての誇りを失いかけたとき、この作品が人生の指針となることもあります。
ですが、正解とは太陽のように一つではなく、星のようにあり、互いに光を打ち消し合うもの。
自分の目で真実を確かめたいと思う方に、読んでもらいたいです。
『アルスラーン戦記』(田中芳樹)のまとめ
人生とはうまくいくものではない。
上手くいかなくて当然。
それでも自分の護りたいもの、手に入れたいもの、掲げたい信念を諦めずに前へと進む主人公達の生きざまが描かれております。
叶えるのはとても容易いことではない。
それでも人と真摯に向き合い、努力し、諦めず、小さくも大きく生きています。
本当に大事なものは何なのかを切として考えさせられるものです。
何が本当に大切なものなのか、読みながら考えられます。
人生のオアシスとなる作品です。
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