『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング)の概要
世界中の「思い込み」に対して、「FACT」=「事実」=「正確なデータ」をもとに、世界の今を正しく見ることを紹介した本です。
大人がかつて学校で学んだこと、特に社会の授業で学んだ知識が、いかに当時のままアップデートされていないのか。
メディアがいかに良いニュースを取り上げていないのか、このような視点からの内容になっています。
『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング)の最初に、簡単なクイズがあります。
おそらく90%の大人が間違えるでしょう。
特に高学歴と言われる職種の方は。
しかし、不安に思うことは一切ありません。
世界がどれだけいい方向に進んでいるか、これをFACTで伝えてくれます。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 [ ハンス・ロスリング ] 感想(90件) |
『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング)の印象に残ったエピソード①
第6章 パターン化本能よりハンス・ロスリング氏がチュニジアへ行った時のエピソードが印象的でした。
建てかけで完成していない家があちこちにあったそうです。
しかも、ここ最近できたような家ではなく、何年も経過しているような家です。
ハンス・ロスリング氏は、「設計を間違えた」や「建築業者に逃げられた」ということを思いましたが、実は違いました。
まさに建築途中なだけであり、決して建築放棄された家ではなかったのです。
一気に材料を買っておらず、少しずつ材料を買い長期間かけて、少しずつ立てていたのです。
それにはこんな理由がありました。
チュニジアでは、銀行口座を開く条件を満たせず、安心して貯金ができない家庭が多くあります。
しかし、自宅貯金しては盗難の被害にあってしまうそうです。
そこで、少しずつ材料を買い、少しずつ家を作っていくのだそうです。
『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング)の印象に残ったエピソード②
世界の名だたる医者は、チンパンジーよりもクイズの正解率が低いそうです。
このエピソードは、ハンス・ロスリング氏が世界中を回って、いかに世界が「思い込み」の知識であふれているか、FACTを知ることがいかに重要かを講演している時の話です。
このクイズは単純な3択問題で、世界の現状をハンス・ロスリング氏が問題にしたものです。
医者達は現在の世界を知らず、30年前の世界の知識で答えてしまいます。
そうなると驚くことに、9割の問題を間違えることになります。
しかし、チンパンジーはそんな思い込みなどせず適当に答えるので、単純に3割は正解するのです。
この事実から、ハンス・ロスリング氏は「医者はチンパンジーよりも頭が悪い」と、公演が始まった掴みのエピソードとして用いるのです。
『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング)で学んだこと
「恐れる」という本能が、いかに現代において必要のない機能であるかということを明確にしてくれました。
『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング)には、大きく10個の本能についての記述があります。
その本能に対してFACTを見て誤った認識をしないように、というのがハンス・ロスリング氏のメッセージなのです。
その中でも、恐怖本能についての章が、1番考えを変えるキッカケになるのではないかと思います。
人間は古来から、恐れることによって命をつなぎ生存競争に勝ってきました。
しかし、現代の(特に日本において)生命が脅かされるほどの危険があるのでしょうか。
「恐怖には自然と目が向いてしまう」
「恐怖の情報は氾濫しやすい」
「恐怖の情報は過剰に受け取ってしまう」
ということを『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング)で示されています。
これまで私達が思っていた恐怖がただの思い込みであり、勝手に自分の脳で増幅しているものであるということがわかります。
この事実を知ることで、死ぬこと以外に対しての恐怖心はかなり減らすことができるでしょう。
「今怖いと感じていることは、脳が錯覚しているだけなんだ」。
このように考え方を切り替えるキッカケになればと思います。
『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング)はこんな方におすすめ
自分の考え方の幅を広げたい人に読んでほしい一冊です。
もしくは、卒業式や成人式の時に、一人ひとりに配っても良いくらいです。
確実にそれくらいの価値がある本だと自信をもって言えます。
これまでに味わったことのない衝撃を脳に打ち込まれることになるでしょう。
人生の節目のタイミングでみることで、読んだ人の、今後の社会での成長の仕方が一変する可能性を秘めた本です。
確実にパラダイムシフトを起こさせることを約束します。
『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング)のまとめ
本には「謝辞」等の、一般的には筆者が執筆、出版において感謝を述べるページがあります。
『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング)にもあるのですが、たいていの本は長くても1ページ半くらいか、少ない場合は数行です。
しかし、この本には7ページも「謝辞」に使っています。
このことにまず驚きました。
そこには衝撃な事実があります。
筆者のハンス・ロスリング氏は、出版前に亡くなっていました。
余命宣告をされたうえで、この本の執筆を娘さんやその他の方の協力を得てしています。
この事実が一番心に響くFACTでした。
そして、この謝辞の長さにも納得しました。
このことを知ったうえで、ぜひ読んで頂きたいです。