『イノセント・デイズ』(早見和真)の概要
田中幸乃は元彼の家に放火し、彼の妻と1歳の双子を殺した罪で死刑囚となりました。
これは、幸乃が元彼をストーカーをした末に起きた悲劇でした。
報道は過熱していくものの、実際に幸乃を知る人達はその報道に違和感を抱いていきます。
一体、田中幸乃という人物は何者なのか？
彼女の真実を解き明かしていくミステリーです。
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価格:825円 |
『イノセント・デイズ』(早見和真)の好きな登場人物
好きな登場人物は、田中幸乃です。
彼女の生い立ちから今までの様子を、色々な人の視点で見ながら物語は進んでいきます。
しかし、彼女の視点は出てこないので真実は最後まで分からないようになっているのです。
ただ、他の人からの視点で田中幸乃を見てみると、彼女に同情してしまう部分が多々出てきます。
家庭環境や彼氏とのことなど、一体誰が悪者なんだろうと考えさせられることが多くなるのです。
読めば読むほど、彼女についてもっと知りたくなる人物になっています。
『イノセント・デイズ』(早見和真)の好きな場面
好きな場面は、死刑の様子が描かれていくエピローグです。
幸乃がどうして死刑を選んだのかという気持ちが分かってくると、涙が止まりませんでした。
早く早くという気持ちや、間に合ってくれという気持ちを抱きながら、ページをめくっていたと思います。
田中幸乃の一生が、あまりにも切なくて、可愛そうで愛しくてたまらなくなってしまうので必見です。
その後のニュースが出てくるシーンでは、冒頭と全く違った見方が出来るようになっているので、そこも好きなポイントになっています。
『イノセント・デイズ』(早見和真)で得たもの
私たちが普段よく見ているニュースは、その事件の1部分でしかないということを思い知らされました。
犯人と聞くだけで怖いイメージを持ってしまうけど、その事件については犯人にしか分かりえない状況があるんだと思います。
上辺だけを信じるのではなく、自分の目で確かめなければいけないなと改めて気付かされました。
だからこそ、ニュースを見て安易に発言するのも考えなきゃいけないなと感じています。
視点が違うだけで色々な見方が出来るので、その辺は面白くも感じました。
『イノセント・デイズ』(早見和真)はこんな方におすすめ
ミステリー小説が好きな人には、ぜひ挑戦してみて欲しいです。
また、死刑囚や裁判員制度について詳しく知りたい人にも参考になると思います。
長編ミステリーですが、いろいろな視点から物語が進んでいくので、こまめに読みたいという人にもおすすめです。
『イノセント・デイズ』(早見和真)のまとめ
とにかく、田中幸乃の執念が凄いので見どころです。
彼女の静かだけど燃えたぎるような情熱が、文章からこれでもかというほどに伝わってきます。
たくさんの苦しみの中で、必死に自我を保とうとしていく姿は読んでいて圧巻です。
事件の真相についても、プロローグの時点から伏線が張られているので、そこも見逃せません。
意外な人物がキーパーソンだったりします。
読み進めるほどに田中幸乃を救ってあげたくなるような良作なミステリーです。