『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子) ― おすすめの本

『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子)の概要

主人公の「わたし」は、フリーランスの校閲者。

カルチャーセンターで具合が悪くなったのをきっかけに、中年の男性・三束さんと出会います。

お酒を飲まずにいられない「わたし」は少しずつ三束さんと距離を縮めていきますが、最後に三束さんがある秘密を主人公に打ち明けるのでした。

『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子)の好きな登場人物

好きな登場人物は、聖です。

彼女は主人公の友達であり仕事仲間です。

主人公とは真逆のはきはきした性格で、恋愛にも積極的です。

そんな彼女の衣着せぬ発言は印象的なものが多く、はっとさせられます。

恋愛に対して臆病で動こうとしない主人公に対し「イライラする」と攻撃するシーンもありますが、聖が必死で生きている様子が伝わってきて、逆に聖の愛おしさが増しました。

最後の方では彼女が抱える葛藤も垣間見られ、より一層聖のことが好きになりました。

『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子)の印象的な場面

「わたし」が同級生の典子と再会する場面が印象的でした。

典子は「わたし」に夫が浮気をしていること、セックスレスであることを打ち明けます。

こうした話をした理由について、「わたし」がすでに典子の「人生の登場人物ではないから」と言い切ります。

誰かに話を聞いてもらいたいけど、下手に知られても困る。

そんな時に話す相手を「人生の登場人物でない」人と表現する典子に怖さを感じつつ共感も覚えました。

こうした関係性を描けるのが、川上未映子氏の上手さでもあると思います。



『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子)で得たもの

お酒の力を借りないと動けず、お酒の入った水筒を持ち歩く「わたし」が、そのことを三束さんに告白するシーンに感動しました。

他の登場人物に比べると、「わたし」は消極的であまり自分の意見を言わないタイプ。

じれったささえ感じる性格です。

そんな「わたし」が恋心を抱いている相手にこうした話をするのは、とても勇気が必要だっただろうと感じました。

そんな主人公の勇気に驚くとともに、「頑張れ」と思わず応援したくなりました。

『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子)はこんな方におすすめ

今、恋をしている人や恋に臆病になっている人におすすめです。

また、人生に迷っている人にもぜひ読んでほしいと思います。

決して派手な場面があるわけではありませんが、一つひとつのエピソードが心に残るので、ゆっくりと味わってほしいです。

『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子)のまとめ

『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子)に出てくる登場人物は、決していい人ばかりではなく、弱さやずるさ、情けなさを併せ持っています。

そんな人間臭い登場人物が、迷い傷つけ合いながらも一生懸命生きている様子が描かれています。

その様子がとても素敵だと感じられる小説です。

川上未映子氏の作品をこれまで読んだことのない人でも、絶対に楽しめる作品だと思うので、ぜひ読んで下さい。

また、もし『すべて真夜中の恋人たち』(川上未映子)を気に入ったら、川上未映子氏の『あこがれ』も読んでみてほしいです。

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