『ノルウェイの森』(村上春樹)の概要
大学生のワタナベは、自殺した恋人の死をきっかけとして精神のバランスを崩してしまった高校時代の同級生・直子に想いを寄せながら、同級生のミドリや寮の先輩等、さまざまな男女と出会っていく。
学生運動が盛んになっていた時代に青春を生きながら、ワタナベは身近な人物の死に出会い、それを乗り越えて大人になっていく。
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『ノルウェイの森』(村上春樹)の好きな場所
『ノルウェイの森』(村上春樹)の中で好きな場所は、主人公のワタナベが住む学生寮です。
庭で国家掲揚をする寮員がいるなど、怪しげな団体が運営しており、不穏な雰囲気がありながら、男子学生達がアイドルのポスターなどを貼ってむさ苦しく暮らしているリアルな青春ぶりが魅力的です。
また、ラジオ体操を欠かさず行う神経質なルームメイトや、女性達と夜な夜な華やかに遊び回るエリートの先輩等、個性豊かな住人が出入りするところも面白いなと思います。
『ノルウェイの森』(村上春樹)の好きな場面
主人公のワタナベが、愛する人の死を受け入れて生き続ける覚悟を持つ、後半の場面が好きです。
物語の前半では、ワタナベは他者の生死や暮らし方に対し傍観者的で、淡白でした。
文章の描写もどこか淡々としていました。
しかし、愛する人の死を経験して自暴自棄になった後、徐々に生きることを意識し始めた時のワタナベからは生や死に対する当事者としての熱量を感じました。
愛する人を亡くした人間は、亡くなった人の思い出を抱き、時にそれを忘れながら生き続けるしかないんだと悟るワタナベの心情描写にはリアリティーがあり、ぐっと惹きつけられます。
『ノルウェイの森』(村上春樹)で得たもの
身近な人の死や、それを乗り越える過程を追体験することができ深い感慨を持ちました。
タイトルにもなっている「ノルウェイの森」の演奏を共に聴いた思い出を亡くなった人の共通の友人と振り返るほか、スキンシップ等を通じて生を実感するといった独自の死生観を興味深く感じます。
恋人の死を受け入れられず、生きていく力を失ってしまった直子と、愛する人の死に打ちのめされつつも生きていく力を得て、青年から大人に変わっていったワタナベの対比から、生きていくことや大人になることの意味について考えさせられます。
『ノルウェイの森』(村上春樹)はこんな方におすすめ
生きる気力や目的のようなものがないなと思った時や、日常で心が動くことがあまりないなと思った時に読んでほしいなと思います。
また、青春を忘れてしまった大人の方や、なんとなく大学生活に彩りを感じないな、と思っている大学生の方にも読んでほしいです。
『ノルウェイの森』(村上春樹)のまとめ
『ノルウェイの森』(村上春樹)は、特徴的な文体や、男女関係の描写から、好き嫌いが分かれやすい小説です。
しかし、全体を通して描かれているテーマやメッセージは非常に深く、考えさせられるものですので、ぜひ読まず嫌いをせずにトライして頂ければと思います。
『ノルウェイの森』(村上春樹)が長くて手を出しづらいという方は、あらすじの似通った、村上春樹氏の『蛍』という短編がありますので、ぜひそちらから読んでみて下さい。
『ノルウェイの森』(村上春樹)はユーモラスな場面もありますので、そういったところも楽しめるのではないかと思います。