『俺は星間国家の悪徳領主』(三嶋与夢)の概要
広大なる宇宙を舞台にした転生作品です。
犯罪等を犯さず善良な一市民として生きてきたのに、妻に裏切られ社会的にも経済的にも散々な目に遭った男が最後の時を迎えようとしていました。
そこへ現れたのが案内人となのる高位存在は転生を持ち掛けます。
今世は真面目に生きても最悪な結果となった。
ならば来世では好き勝手に生きてやる!悪人になりたいと男は転生を承諾。
こうして案内人の好意によって、星間国家貴族の子供リアム・セラ・バンフィールドに転生しました。
しかし男がこれまで不幸に見舞われたのは、すべて案内人によるものでした。
今回も転生させてあげるといいながら、男を不幸のどん底に突き落とすつもり。
案内人を恩人と信じて疑わないリアムはどうなるのか?という内容です。
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『俺は星間国家の悪徳領主』(三嶋与夢)の好きな登場人
好きな登場人物は、主役であるリアム・セラ・バンフィールドです。
自身に押し寄せる不幸はすべて案内人によるものだったいうのに、リアムは気付きません。
それどころか案内人を恩人と信じて疑いません。
その信じる心が案内人からの策謀をすべて打ち破ることに繋がり、苦難を乗り越えたリアムは成長していきます。
そしてその度、今回無事だったのも案内人の加護のおかげだと信じる心は強まり、ますますリアムは案内人への感謝の気持ちを高めていきます。
また本人は悪徳領主のつもりなのですが、すべて善政に繋がっているというのも面白いです。
『俺は星間国家の悪徳領主』(三嶋与夢)の好きな場面
リアムが愛機アヴィドを駆り、宇宙海賊を殲滅する場面が最高に好きです。
リアムは案内人が手を回したインチキ剣術使い安士から教えを乞うていました。
安士がリアムに見せた一閃流の技は、剣術ではなくただのトリック。
いわゆるインチキです。
でもリアムはそれを本物だと思い、その一閃流をマスターすべく鍛錬に励みます。
そしてインチキだったはずの一閃流をマスターし、達人以上の力を身に着けてしまいます。
アヴィドはそのリアムの動きを忠実に再現することで、敵である宇宙海賊を単騎で次々と破壊。
艦隊数でいえば圧倒的不利にも関わらず、アヴィドの活躍によって終わってみれば圧勝に。
この戦闘場面が最高にスカっとしました。
『俺は星間国家の悪徳領主』(三嶋与夢)で得たもの
「信じる者は救われる」「アホの一念岩をも通す」と等の言葉を改めて理解・実感出来たような気がします。
案内人はリアムの前世においても悪行の限りを尽くして悲惨な目に遭わせてきました。
それは今世においても同様です。
でもそうとは知らないリアムは、何があっても案内人がどうにかしてくれる!と信じて行動します。
その結果、安士のインチキすら本物だと思い込みました。
案内人がインチキ剣術士なんて送ってくることはない、ちゃんと修行すればマスターできるんだ!と信じて。
この一念がインチキ剣術の一閃流をマスターさせることとなり、この信じる心の強さを改めて知る事が出来たなって思います。
『俺は星間国家の悪徳領主』(三嶋与夢)はこんな方におすすめ
昨今の異世界転生物に食傷気味な方にこそ読んで欲しいです。
異世界転生というと、「剣と魔法のファンタジー世界」が定番となっています。
そしてそれまで普通の人間だったのに、転生したらイエス・キリスト顔負けの謎の聖人ムーブをします(困っている人を見つけたら文字通り命がけで助けたり、孤児なら引き取って育てたり)。
正直かなり不自然です。
しかし『俺は星間国家の悪徳領主』(三嶋与夢)では魔法等はないですし、聖人ムーブもしません。
主人公は悪行の限りを尽くそうとしています(結果が伴っていないだけで)。
こういった点を面白おかしく描けているので、普通の作品とは違うものを読んでみたいという方におすすめです。
『俺は星間国家の悪徳領主』(三嶋与夢)のまとめ
主人公リアムは悪行の限りを尽くそうとしているのに、すべて裏目に出てしまいます。
現代日本人の知識を持つリアムからすれば、「まず与える。そして奪う」のが搾取の基本。
しかしこの世界では、この考えを持つ貴族はかなり異質でした。
結果、悪徳領主のつもりが善政をしく名君として民衆からあがめられる事に。
そして案内人とリアムの関係性も面白いです。
案内人はリアムを地獄へ突き落そうとしているのに、リアムは案内人のおかげだと感謝。
そしてリアムが抱く感謝の念は、不幸を糧とする案内人にダメージを与えてしまいます。
このすれ違いが作品を面白おかしくしています。