『聖女ジャンヌと娼婦ジャンヌ』(藤本ひとみ) ― #おすすめの本

『聖女ジャンヌと娼婦ジャンヌ』(藤本ひとみ)の概要

15世紀のフランスであった大きな戦争でジャンヌダルクが活躍していたものの最後は処刑されるという悲劇をご存知の方は多いかと思います。

今作で登場するジャンヌは2人です。

国を救おうとし神の声に従う聖女ジャンヌと神を信じず我が道を行く娼婦ジャンヌによる新たなドラマが繰り広げられます。

【中古】 聖女ジャンヌと娼婦ジャンヌ 新潮文庫/藤本ひとみ(著者) 【中古】afb

『聖女ジャンヌと娼婦ジャンヌ』(藤本ひとみ)の好きな登場人物

主人公である「娼婦」ジャンヌの生き方や人物像には深く引き込まれます。

自分の体や「聖女」ジャンヌの力を利用しのし上がっていく姿はアニメなどで見る正統派なヒロインのイメージと程遠く映るかもしれません。

彼女は娼婦として他人に甘く見られないこと、誰にもつけこまれないことというポリシーを持っており権力者の男に対してでも強く立ち回ります。

また、いかなる苦境に立たされても生き延びてやる、敵に負けないという信念の強さに多くの人が勇気付けられるでしょう。

『聖女ジャンヌと娼婦ジャンヌ』(藤本ひとみ)の好きな場面

この作品の見所はやはりクライマックスでしょう。

物語の結末でも史実通り「聖女」ジャンヌは処刑されてしまいます。

「娼婦」ジャンヌは満身創痍になりながら「聖女」ジャンヌを救い出そうとしますが、神が必ず助けてくれると言い救出を拒みます。

そして処刑されるシーンで「娼婦」ジャンヌは神による奇跡が起きてほしいと強く願います。

そして「聖女」ジャンヌは必至の叫びも虚しく命を落としてしまいます。

神を信じず知恵と体を使って生き延びてきた娼婦の大きな心境の変化は圧巻です。

『聖女ジャンヌと娼婦ジャンヌ』(藤本ひとみ)で得たもの

この本を読みフランスの歴史についても興味を持つのに繋がりました。

作者の方は西洋史に造詣が深く世界史を勉強してからまた読んでみたくなりました。

「娼婦」ジャンヌのいい意味での狡猾さや大胆さは善悪といったものを越えて読んだ人にどのように自分の武器や状況を分析して最適な解決策を見出せばいいか考える大切さを学ぶことができるでしょう。

いかなる状況でも乗り越えようというメンタルの強さは今の時代の人間にこそ響くものがあると思います。

『聖女ジャンヌと娼婦ジャンヌ』(藤本ひとみ)はこんな方におすすめ

受験や就活など先行きが見えなくて困っている方に是非読んでもらいたいです。

作中での行為は必ずしも許されるものばかりではありませんが「娼婦」ジャンヌのあらゆる策を使ってでも生き延びようとする芯の強さは多くの方の心を引きつけ勇気付けてくれることと思います。

『聖女ジャンヌと娼婦ジャンヌ』(藤本ひとみ)のまとめ

この物語では「娼婦」ジャンヌと「聖女」ジャンヌの2人を軸にした歴史小説です。

この作品で注目すべき点はやはり性格も立場も正反対のジャンヌが2人登場しお互いの運命や歴史が大きく変わっていくところでしょう。

神を信じず生き延び這い上がるためには手段を選ばない「娼婦」ジャンヌが「聖女」ジャンヌを利用しつつも交流することを通して神に対する自分の考えに変化が出てきます。

清純なヒロイン像から大きく逸脱した「娼婦」ジャンヌのいい意味での狡猾さや強さは現代を生きる多くの若者の心を鼓舞してくれるでしょう。



当ブログおすすめの一冊

ブログ『大人の読書感想文』管理人が、SNSを通じて知り合った作家さんの本です。

従順のすすめ 開かれた未来へ通じる至極の10の思想【電子書籍】[ 清水 竜志 ]

・タイトル:『従順のすすめ』

・著者:清水竜志

・内容:現代思想についての本です。

「好きとは何か」
「学業学歴とは何か」
「お金とは何か」
「ストレスとは何か」
「宗教とは何か」
「個性とは何か」
「若者の品格とは何か」
「競争とは何か」
「死とは何か」
「人間とは何か」

といった、現代社会の漠然とした疑問を新しい理屈の真理で解明する、という新しい取り組みをした充実の内容です。

是非、一冊お手に取り著者である思想家の清水竜志さんを応援して下さい。

清水竜志さんのTwitter:https://twitter.com/messages/media/1116542864228413445