『八重子のハミング』(陽信孝) ― おすすめの本

『八重子のハミング』(陽信孝)の概要

30年以上教職に携わった陽信孝氏と、愛妻・八重子さんのお話です。

ある日、陽信孝氏は胃ガンの宣告を受けてしまい過酷な闘病生活が始まりますが、同じ時期から妻の八重子氏がアルツハイマー病を発症してしまいます。

『八重子のハミング』(陽信孝)の好きな登場人物

陽信孝氏を妻として支えていた八重子さん、そしてアルツハイマー病が発症してから八重子さんに愛情をもってお世話する陽信孝氏の関係性が素敵です。

アルツハイマーを発症しているご家族のお世話というのは、ニュースでも取り上げられている通り、肉体的な疲労は勿論ですが精神的にもとても消耗してしまいます。

陽信孝氏も最初こそ自暴自棄になってしまう場面が見受けられましたが、読み進めるにあたって八重子さんを人間として愛していらしたんだなとわかります。

『八重子のハミング』(陽信孝)で好きな場面

真冬の寒空の中、八重子さんが外で陽信孝氏の帰りを待っていた場面です。

雪が激しく降っている日だったらしく、陽信孝氏の帰りを外で待ち続けたその姿は雪だるまと描写されていました。

この時、陽信孝氏は職を退く事を決心して、八重子さんの介護を本格的に始める事になるのですが、この話は1ページと少しの文章で短く描写されています。

陽信孝氏がどこか見ぬふりをしてきた現実を受け止めるきっかけになったのだろうなと強く感じる事が出来ます。



『八重子のハミング』(陽信孝)で得たもの

家族とは言え、元は他人であった筈の八重子さんを愛して行動に移していらっしゃる陽信孝氏が、読んだ当初人としてご立派な方だなと感動したのを覚えています。

『八重子のハミング』(陽信孝)を手に取った当時、家族に認知症になった者がいました。

その事実を受け止めてはいたものの、まだ本人に優しくする精神的な強さがありませんでした。

しかし『八重子のハミング』(陽信孝)を読んでからは、優しくすることしか出来ませんでした。

それから認知症の当人相手にムっとしたり感情的になってしまった日は、『八重子のハミング』(陽信孝)を読んで反省し陽信孝氏のように振る舞えない自分に落ち込んだりもしましたが、今でも『八重子のハミング』(陽信孝)に出会え、読むことが出来たことを良かったと思います。

『八重子のハミング』(陽信孝)はこんな方におすすめ

ご家族に認知症当人がいらっしゃる方、もしくは身近にいらっしゃる方です。

出来れば症状が軽い状態の時の方が読まれる方も精神的にゆとりがあるでしょうし、今後の気持ちの持ちようを考える事が出来て良いかも知れません。

『八重子のハミング』(陽信孝)のまとめ

認知症当人の症状を一つの体験談として知る事が出来ます。

きっと現在進行系で介護をされている方が読めば、頷ける点も多々あると思います。

介護は介護をしている本人も孤独を感じる事があると思うので、せめてこの本を読んで一人ではないのだなと感じて、今後の生活をする上で精神的なゆとりが少しでも感じて頂ければ、同じ心の助けになった読者としても嬉しい限りです。

また人を愛するという事の大切さも読んだ上で感じる事が出来るので、長年つれそった旦那さんと奥さんは勿論これから関係を育んでいく新婚さんにも出来れば読んでもらいたい一冊です。

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