『i(アイ)』(西加奈子)の概要
主人公はアイという女の子。
彼女はシリア人の両親の元で産まれ、アメリカ人の父と日本人の母に養子として育てられている。
そんな彼女は優しい養父、養母に大切に育てられるが、自分が恵まれている一方で世界で起こる悲しい事故や災害、テロなどに心を痛め、苦しむ。
家族、友人や恋人との出会い、優しさや愛し愛されることで自分の世界を広げていく物語り。
『i(アイ)』(西加奈子)の好きな登場人物
好きな登場人物はアイの養父、養母。
彼らは養子であるアイにおしみない愛情をかけ、育てる。
アイに世界情勢や世界で苦しんでいる人について話をし、悲しんでいる人達に心を寄せる優しい両親。
常にアイがどうしたいかを聞き、アイの意見を尊重してくれます。
子どもができず、アイを養子として迎えた本当に素晴らしい夫婦です。
幼少期はニューヨークで養父、養母と過し、その後中学生の時に父の仕事の関係で日本に引っ越してきます。
『i(アイ)』(西加奈子)の好きな場面
印象的なのはニューヨークに住んでいた時のお手伝いさんとアイ一家が描かれる場面です。
子沢山で貧しいお手伝いに、養母は食べ物を分けたり、アイのお下がりをあげたりしますが、ある日物を盗まれたことによって解雇してしまいます。
このことによって、その家族がどうなったのかアイは長いこと心を痛めることになります。
またアイは結婚後、子どもがほしいと願いますがなかなか授かることができず、そんななか子沢山だったお手伝いを思い出します。
子ども一人授かれないと見下されたような気持ちになってしまいます。
『i(アイ)』(西加奈子)で得たもの
世界の悲しい出来事に心を痛め、心を塞いでいたアイが、ある日デモに参加し、だんだんと自分の心を解放していくところに感動しました。
ちょっとした出来事が人をこんなにも変えてしまうのだと感心させられます。
また、人が変わる時の根本には愛があるのだと知ることができます。
誰かを愛し、愛されることで自分の存在意義を見出し、アイのように新しい自分になれる。
愛の影響力の大きさを改めて実感できます。
なんだか心が悲しい時でも、誰かを愛したり、愛されたり、その基本を忘れてはいけないと教えられているようです。
『i(アイ)』(西加奈子)はこんな方におすすめ
自分の存在意義、アイデンティティーに疑問を持ち苦しんでいる人にぜひ読んでほしい一冊です。
読んだことで自身の苦しみが消えるわけではありませんが、何かヒントや気づきをもらえると思います。
また、自分に自信がなくなった時にも読んで欲しい作品です。
『i(アイ)』(西加奈子)のまとめ
この本の主人公アイの存在、考え方は日本人の両親のもとで育った方にとっては衝撃的なものでしょう。
自分とは何か、両親、友人、恋人の存在とは何か、世界の人々の苦しみや悲しみ、そして死についてなど、幅広いことについて考えさせらる内容の一冊になっています。
おそらく読み手によって、そして読み手の現在の状況や心によって、この本を読んで考えさせられる内容は大きく変わってくるのではないかと思います。
時間を置いて何度か読み返しても良いと思います。
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