『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(米原万里)の概要
嘘つきアーニャの真っ赤な真実は小学生時代をチェコスロバキアのソビエト学校で過ごした米原万里先生自身のエッセイ本です。
日本に帰ってきた米原万里先生は数十年以上の時を経て、昔の友人達を探し会いに行きます。
嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫) [ 米原 万里 ] 感想(32件) |
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(米原万里) の好きな登場人物
主人公は米原万里先生自身です。
抜群の文章力でメインの3人の友人達や出会う前、出会った後のエピソードをしっかりと描いています。
特に米原万里先生がすごしたチェコスロバキアのソビエト学校時代の事は見事な文章力でまるで自分もそこにいるかのような感覚になります。
ロシア語を覚えるのはかなりの努力が必要だとは思いますが、自分もこんな素敵な小学生時代を過ごしてみたかったと思わせる魅力があります。
特に好きで印象に残っているのが三番目に出てくるクールで絵が大好きなヤスミンカです。
彼女が抱えているものは読んでいてとても苦しくなります。
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(米原万里)の好きな場面
「白い都のヤスミンカ」の中で普段はクールで頭がよく、クラスメートから一目置かれ、だからこそ近づきにくく思っているヤスミンカと米原先生が友達になるシーンはとても印象的です。
米原先生とヤスミンカは実は同じ孤独を抱えており、それをお互い打ち明けるシーンは胸にくるものがあります。
また、ソビエト学校の子ども達や先生は他人の才能を皆の宝物として尊敬し、愛する事を知り驚くことでしょう。
普通なら才能がある人は妬まれるのにソビエト学校では一切それがないのです。
この感性はもっと多くの国や人に広まってくれたらケンカや争い、いじめが減るのにと思います。
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(米原万里)で得たもの
タイトルにもなっている嘘つきアーニャの真っ赤な真実のアーニャの考え方はなかなか理解するのが大変でしょう。
何度も読み返しこの時代について色々勉強もしましたが、おそらくまた私は理解しきれていないと思います。
この世界には色々な考え方をする人がいる事を痛感したエッセイです。
ソビエト学校時代、アーニャは素敵な黄色いノートを文房具店で買ったと言います。
ですが、アーニャの兄によりそれは嘘だと分かります。
他にもアーニャは色々な嘘をつき続けます。
嘘をつく彼女ですが、それでも一緒にいたくなる魅力があるのもまた事実です。
そんなアーニャと時を経て再開する米原先生ですが、アーニャと米原先生の考えはあまりに違い過ぎていました。
どれだけ仲がよくても時間や立場が人を変えてしまう事もあると実感するでしょう。
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(米原万里)はこんな方におすすめ
ソビエト時代のロシアやその周辺の国々の歴史を知りたい人におすすめです。
歴史とはいっても決して難しいものではなく米原万里先生自身の幼少期の貴重なエピソードを交えて最高に面白く描かれており、勉強が苦手な方でもびっくりするほどスムーズに読む事ができると思います。
最後のヤスミンカの物語では当時のベオグラードがいかに厳しい状況にあるかが切々と伝わってきて切なくなります。
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(米原万里)のまとめ
嘘つきアーニャの真っ赤な真実は全部で約300ページほどで1つのエピソードが大体100ページ程度でまとまっているのであまり時間がない時でも読む事ができます。
冷戦時代の事を勉強したい、でも複雑すぎてどこから手をつけていいのかわからないという人におすすめです。
今ならネットで色々な事を検索しながら読む事ができるので、より時代背景をしっかり把握しながら読む事ができるかと思います。
また、このエッセイは友情物語でもあります。
幼少期にしっかりと結ばれた友情はどれだけ時を経ても決して変わる事がないと私に教えてくれたとても大切な本です。
ブログ『大人の読書感想文』管理人が、SNSを通じて知り合った作家さんの本です。
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