『屍鬼』(小野不由美) ― おすすめの本

『屍鬼』(小野不由美)の概要

国道から遠く離れ、四方を木々に囲まれたとある村の夏の出来事です。

多くの村人が、村で生まれ、村で育ち、そのまま村で生涯を終えるのが慣習なので、村の様子も村人も大きく変わることは非常に稀なことなのです。

しかしある夏の日、丘の上に一つの家族が越してきました。

しかも、真夜中に。

村人達は、最初から少し不信感を抱いていましたが、その不信感は徐々に大きくなります。

そして、それと同時に村で病気が流行ります。

原因は一切不明。

そして、病にかかった人々はどんどん亡くなっていきます。

原因を突き止めるために動いた村唯一の医者と、亡くなった人々を見送る唯一のお坊さん。

幼馴染の2人が村で起きている不可思議な事件を追及していきます。

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『屍鬼』(小野不由美)の好きな登場人物

村で不可思議なことが起きていくなか、村唯一の医者とお坊さんが動くのですが、その幼馴染コンビが好きです。

いつも強気で積極的な医者・敏夫。

物静かで消極的なお坊さん・静信。

性格は対照的な2人ですが、子どもの頃から仲が良く、大人になった今でも何かあれば助け合える2人です。

しかし、2人は似ている部分もあります。

それは、自分の考えに常に真っ直ぐだということ。

いつも平穏で何も変わらないと思っていた村が大きく動いた時に、2人の関係性も変わりました。

それは、お互いに譲れない部分があったのですが、正反対な性格をしている2人が唯一似ている部分でもあります。

『屍鬼』(小野不由美)の好きな場面

物語の一番最後が特に好きです。

村全体が火の海になり、残った村人達を敏夫が誘導して避難しようとするのですが、燃える村を見て敏夫がふと気付きます。

「そうか・・・」と、意見の相違から仲違いをした幼馴染が言っていたことを、あの時の自分は否定したけれど、本当は彼が言っていた通りだったのだと気付くのです。

ただ、そうは思っても幼馴染ともう会うこともないことや平穏な村が帰って来ないことを、寂しい辛いと思う間も与えずに、赤々と燃え上がる火が全て飲み込んでくれたかのようで、一番印象に残っていますし好きな場面でもあります。

『屍鬼』(小野不由美)で得たもの

人類皆兄弟とまでは言いませんが、少なくとも多少の考の相違はあれど、それはあくまでも他人だから仕方ないと思っていたのです。

が、この本はそうではないのだと、考えさせられる内容でした。

人間が多種の生物と共存すること、考えの違う人間同士が分かり合えることは、非常に稀なのかも知れません。

この物語は登場人物が多いです。

それぞれに名前や台詞があり、とても複雑な関係性などもあります。

物語の序盤はとても穏やかな村ですが、終盤になると文字通りドロドロの人の心が浮かび上がってきます。

そして、それが故に主役の2人である幼馴染コンビも違う道を進みます。

なぜそうなったかのかの原因が「他種の生物との共存」でした。

ある生命体は、人間を餌にしないと生きていけないとして。

でも、彼らも生きるためだからと、誰かを犠牲にしてまで共存を選ぶのか。

生きているからと言って、誰かが犠牲になるのは見過ごせるのか。

この本を読むまでは、「生きているんだから、一緒に生きていける道を選ぼう」と多くの方は言うと思います。

しかし、全てを読み終えた時、そんな甘いことは言えないのだと思えるのではないでしょうか。

誰かが生きるために、誰かを犠牲にする。

それが例え、親でも子どもでも。

『屍鬼』(小野不由美)はこんな方におすすめ

ホラー系の映画や小説が苦手な方でも、一気読みできる内容です。

本当に恐怖を感じつつも「この先どうなるの!?」という予想外の展開が気になって、一気に読めてしまうと思います。

ホラー系が得意な方もそうでない方も、恐怖を腹の底から感じたい時に、ぜひ読んで頂きたい一冊です。

『屍鬼』(小野不由美)のまとめ

本当に楽しい内容です。

最初は難しい漢字が並び少々退屈に感じてしまうかも知れませんが、読み始めてしまえば加速度的に一気読みしてしまいます。

村人全員に名前が付いていて台詞もあり、一見複雑な関係性に思えますが、そんなことはなくどんどん内容が入ってきます。

絶叫あり、涙ありのスリル満載な展開です。

そして、ホラー系苦手という方は小野不由美氏の「十二国記」もオススメですよ。

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