『赤い指』(東野圭吾) ― おすすめの本

『赤い指』(東野圭吾)の概要

前原家において息子による幼女殺害事件が起きた。

夫婦は事件を隠蔽するため、遺体を公園に運ぶ。

前原家を訪問した加賀刑事は、認知症の政恵の奇行を見て疑念の目を深める。

もう誤魔化せないと感じた夫婦は、政恵へ罪をなすりつける。

しかし、政恵の指は赤い口紅色。

加賀は、昭夫の人間性に訴えかける。

思い出の杖を前に感情の抑制ができなくなった昭夫は、息子の罪を白状する。

赤い指 (講談社文庫)


『赤い指』(東野圭吾)の好きな登場人物

幼女殺人事件の捜査担当になったのは、これまで数多くの難事件を解決し、敏腕刑事として練馬署内で評判の加賀恭一郎です。

加賀刑事は、事件現場に自転車のタイヤ痕を上から靴で踏み消したような跡が残されていたこと、遺体に芝が付着していたことに着目し、事件現場の付近の住宅街で聞き込みを開始します。

目撃情報がなく、めぼしい情報も引っかからない中、徐々に、聞き込みの対象範囲は広がっていきます。

ついに、前原家のところまで捜査が及びます。

夫の昭夫と話をしていた時、突然、認知症の母の政恵が軍手を両手にはめて、加賀の方に駆け寄ってきます。

その軍手は、昭夫が遺体を運ぶ際に使用したものです。それを見た昭夫の表情など前原家の様子に疑念を抱いた加賀刑事は、庭に張られた芝を持ち帰ります。

『赤い指』(東野圭吾)の好きな場面

加賀は、

「如何なる理由や事情があろうとも、罪を犯せば留置所に行かなければならない。そこは、高齢者にとって、とても辛い場所であるが、お母さんを連れていってもよいのですね。」

と昭夫に問いかけます。

「仕方がない」と昭夫は答えます。

次に、加賀は、政恵に、思い出の品と聞いていた鈴がついた杖をもたして、連れて行こうとします。

動きに応じて、 鈴がなります。

鈴の音を聞き、感情の抑制がきかなくなった昭夫は、嗚咽して倒れ込みます。

その杖は、昭夫の小学生時代の名札がついた思い出の品だったのです。

ついに、昭夫は、息子のしたことをすべて白状します。

その後、政恵が呆けた振りをしていたこと、犯してしまった罪に対して正しい対応を取って欲しいがために、 政恵が奇行をとっていたことを教えられます。

事件は犯人をただ捕まえればよいのではない。

関係者の人間性を取り戻させた上で、解決されなければならないと、胸に強く刻ませて、事件は終わるのです。

『赤い指』(東野圭吾)から得たもの

ただ犯人の息子を捕まえただけでは、この前原一家は浮かばれません。

きっちり人として正しい道を自覚させ、 人間性を取り戻した上で、捜査を終えなければならないという、加賀刑事の捜査ポリシーに感動しました。

認知症を患った振りをしている政恵が、何とかして、昭夫らに人として正しい対応をしてもらいたいと、目で必 至に加賀に訴えかけているシーン、すべてを見通した加賀が昭夫の心に訴えているシーンを読んで、涙が出ました。

思い出の杖を目の前にして、感情のコントロールができなくなり、倒れ込んでしまう昭夫が、すべてを白状します。

心が完全に腐ってなくて本当によかったです。

それにしても、妻の八重子、本当に憎たらしいで すね。

八重子を見ていると、十分に人間性テストをしたうえで、結婚を判断すべきと感じてしまいました。

『赤い指』(東野圭吾)はこんな方におすすめ

前原昭夫は、47歳の会社員で、家庭では、父親としての威厳を発揮できず、嫁姑問題や反抗期の息子の対応に苦悩しています。

他方、妻の八重子は姑を毛嫌いしており、また反抗期の息子のご機嫌取りに終始徹しています。

このような家庭は、全国多くあろうかと思います。

家族の絆の崩壊に悩んでいる中高生の皆さんに読んでもらいたいです。

ラストまで読むと、家族の絆って本当に大事だなと思ってしまいます。

『赤い指』(東野圭吾)のまとめ

前原昭夫は、大事にしていた人形を幼女に壊され、母の政恵が庭で衝動的に幼女の首を絞めて殺してしまったのだと嘘の証言をします。

その話を聞いた加賀刑事は、政恵のもとに近づいて行くと、政恵は、何も言わずに加賀の目を凝視し、赤い口紅で塗った両手の指を見せてきます。

この手で首を絞めたのであれば、幼女の首の絞殺痕には、赤い色が付いているはずです。

また、政恵の目は、必死に訴えかける様子で、呆けているとは思えません。

この事件の顛末を慧眼の目で見通した加賀は、昭夫の人間性の欠片にかけるため、駆け引きにでます。

この駆け引きに涙が出てしまいました。

家族の絆って本当に大事にしなければならないと強く実感してしまいます。



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