『君の膵臓をたべたい』(住野よる)の概要
人と関わりを持とうとしない基本的に孤独が好きな主人公「僕」と、対照的にとても元気で明るい同級性の女子高生「山内桜良」の物語。
「僕」が”共病文庫”という本を偶然拾うことで接点が出来、桜良が色々と「僕」に話をするようになる。
なぜ、桜良が急に「僕」に接近するようになったのか・・・。
感想(72件) |
『君の膵臓をたべたい』(住野よる)の登場人物達
ヒロインの桜良の強さがとても好きです。
自分の病のことで本当は頭がいっぱい。
それでも自分のやりたいことをやりきろうとする姿と、本当は怖くて寂しくて誰かに助けてほしいという気持ちが、「僕」といる時に見え隠れするその姿がとても愛おしいです。
ホテルで桜良が「僕」をからかって入浴中の自分のところにタオルを持ってこさせるところや、ゲームをして少しわがままな所など、「僕」を困らせながらも普通の男の子ならドキドキが止まらないポイントがたくさんあります。
『君の膵臓をたべたい』(住野よる)の好きな場面
最も好きな場面は桜良が亡くなってから彼女の実家で共病文庫を読む場面です。
友達や親へ向けたコメントがそこに書いてあります。
そして、「僕」に向けたメッセージが書いてあるのです。
しかも、それは空白のページを挟んだ後に。
2人だけの想い出、2人しか知らない出来事、2人だけの約束・・・
その部分を読む時には涙なくしては絶対に読めないと思います。
それほどに、桜良のまっすぐな姿勢が、そして「僕」を頼り、どれだけ大切にしていたかを感じさせる名場面だと思います。
『君の膵臓をたべたい』(住野よる)で得たもの
何よりも感動したことは、桜良が死ぬ前に送ったメッセージと「僕」が送ったメッセージです。
色々なことを2人で経験しました。
たくさんの想い出があり、桜良に最初は全く興味がなかった「僕」が知らず知らずのうちに桜良に惹かれていきます。
そしてそんな2人が待ち合わせをし、桜良がなかなか来ないので、桜良も行きたい気持ちはあるけれど遅れてしまって、互いが互いに宛てて気持ちを送ります。
「僕」はその気持ちをたくさんの言葉にのせて届けようとしたのをやめ、たった一言で締めくくります。
この本の題名の意味がそこでよくわかり、よく出来た小説だと感心しました。
『君の膵臓をたべたい』(住野よる)はこんな方におすすめ
思いっきり泣きたい時に読んでほしいです。
主人公と同じく高校生や、大学生にはホントに心に響く作品だと思います。
大人の方は辛いことがあってやりきれない時や、前を向いていかなければいけないと思う時に読むと力をもらえる作品だと思います。
『君の膵臓をたべたい』(住野よる)のまとめ
最初から最後まで良く計算された本だと思います。
衝撃的な結末はいきなりではなく、きちんとこの本の中に伏線が張ってあります。
だから読み手は最後にまさかそうなってしますのか、と思わざるを得ないと思います。
そして、やはり桜良が可哀想だという感情、残された「僕」を見て思う感情・・・、哀しみが溢れ出します。
でも、この2人だけはそれを最初から分かっていて繋がっていたようにも思え、この2人の高校生の心の強さを感じられる、そんな素敵な作品です。
ブログ『大人の読書感想文』管理人が、SNSを通じて知り合った作家さんの本です。
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