『レフトハンド・ブラザーフッド』(知念実希人)の概要
元高校生プロボクサーの岳士の左腕には死んだはずの兄が宿っている。
そんな岳士は些細なことから殺人事件の容疑者となってしまう!
逃亡生活を続けながら、濡れ衣を晴らすために事件の真相を追及する2人。
彼らを待ち受けているのは、サファイヤと呼ばれる危険ドラッグの謎、隣の部屋に住む彩夏との出会い…。
2人は無事に濡れ衣を晴らすことができるのか。
そして最後は感動のラストを迎える。
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『レフトハンド・ブラザーフッド』(知念実希人)の注目の登場人物
彩夏がこの物語のキーになってきます。
美しく怪しい香り漂う彩夏に岳士は惹かれていきますが、左腕に宿る冷静沈着な兄・海斗は危険を感じます。
いつも迷った時は兄の言うことを聞いていた岳士ですが、彩夏に関することとなると理性を失いがちに。
2人を翻弄する彩夏の存在がこの本を面白くさせているのだと思います。
2人の間で、彩夏に関することで何度も意見の相違が起こります。
体を支配しているのは岳士なので結局は岳士の思うように行動することになるのですが、彩夏を信用していない海斗とは何度も口論になり…という場面は読んでいてもどかしい気持ちにさせてくれます。
『レフトハンド・ブラザーフッド』(知念実希人)の好きな場面
岳士に腕を切り落とすように促す海斗の名演技には心を打たれました。
ストレートに催促しても岳士が腕を切断することは二度も兄を殺すことになってしまうため、拒むだろうと考えた海斗が悪者になって岳士に自分を消滅させる。
兄が死んだのは自分のせいだと責め続ける岳士の姿を想像するのもつらいですが、弟の為にそこまでできる海斗の愛に感動します。
生前に2人は最高のパートナーでしたが、ある1人の女の子をめぐり溝ができてしまった姿にも切なさを覚えました。
『レフトハンド・ブラザーフッド』(知念実希人)から得たもの
他人の為にどこまで自分を犠牲に出来るか、と考えました。
いくら大切な家族や友人だからといって、海斗のように自分が悪者になってまで誰かを守ることが自分には出来るのであろうか。
ただ海斗だけではなく、同じくらい岳士も海斗のことを大切に思っているのだと感じます。
お互いに大事に思い、愛している2人だから一緒に真相を暴くことが出来るのだろうなと思います。
当たり前に存在していると思ってしまっている周りの人のことを、もっと大事にしようと思いました。
『レフトハンド・ブラザーフッド』(知念実希人)はこんな方におすすめ
ミステリーが好きな方におすすめです。
グロテスクな描写も少ないのでミステリーに苦手意識がある方にも試しやすい作品になっているのではないかと思います。
主人公が男性ですが、男女問わず大切な人のことを思いながら読んで頂きたい作品です。
きっと共感できる場面が多々あると思います。
普段あまり本を読まない方も読み始めたら一気に読み終わってしまう作品だと思います。
少し長いですが、物語の展開が早さにその長さを感じずに読み進められます。
『レフトハンド・ブラザーフッド』(知念実希人)のまとめ
知念さんの本はほぼ読んでいますが、その中でもベスト3には入るのではないでしょうか。
長い作品ではありますが、展開が早いので読みやすいというのが特徴だと思います。
知念氏の作品は読み終わった後に心が温かくなり、もう一度読みたくなることでしょう。
ただのミステリーではなく、他人を愛するということはどういうことかを問う作品です。
それは男女間の愛だけではなく、家族や友人にも当てはまる「愛」なのです。
ミステリーのハラハラ感もあり、読んだ後の優しい気持ちも味わえる作品です。